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No. 4129 ヴィクトリアン スターリングシルバー バターナイフ
長さ 16.2cm、重さ 27g、ブレード部分の最大幅 2.2cm、柄の最大幅 1.35cm、1890年 バーミンガム、一万六千円

ブレードとハンドルの全面にわたって手彫りのエングレービングが施され、力強い波模様の彫刻、ヴィクトリアンに典型的なファーンパターン、そして小花の彫刻も可愛らしく、見所の多いヴィクトリアーナになっています。 作られたのは今から百二十年ほど前のヴィクトリアン後期にあたる1890年のことで、アンティークとしての古さも魅力になっています。 見たところ華やかな印象のアンティークでありますが、その一方で27グラムと持ちはかりがあって、柄は最大で3ミリほど厚みがあり、しっかり作られた銀のバターナイフであることもポイントです。

ブレードの先の方にはウェーブパターン、中ほどにかけてはファーンパターン、そして柄先に向かっては小花のエングレービングが効いています。 植物文様とウェーブパターンの融合デザインはオーソドックスなヴィクトリアン アンティークの特徴です。 

ファーン(Fern)パターンとは、シダ模様を指します。 19世紀のイギリスにおいては、稠密かつ精巧なナチュラルデザインとしてファーンが好まれ、コンサバトリーで育てる人気の植物となっていました。 ウォード箱を使ってさまざまな種類のファーンを収集することも広く行われておりました。 そうしたことが背景にあって、ファーンパターンはヴィクトリアン装飾の中でも特に人気の高いモチーフのひとつとなったのでした。 ヴィクトリアンのフラワーコード(花言葉)によれば、FernにはFascination(魅惑)、Magic(不思議な力)、Sincerity(誠意)といったコードがあてられています。

波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。

手彫りの彫刻はかなり細やかな仕事で、写真では十分にその繊細さがお伝え出来ませんが、アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、この限界的な職人技の素晴らしさを分かっていただけると思います。 ルーペでじっくり観察していくと、彫りの跡から彫刻刀を振るった向きまでもが窺い知れ、銀職人さんの息遣いが伝わってくるところにも私は惹かれます。

柄の裏面には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカー、1890年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントとなっています。

ちなみにヴィクトリアンの物品を示すアンティーク専門用語に「Victoriana」という言葉があります。 ヴィクトリア時代は1837年から1900年までの六十余年の長きにわたり、英国の国富が大いに伸びた時代なので、アンティークコレクターにもヴィクトリアーナ専門という方が英国には結構いらっしゃるようなのです。

この品が作られたヴィクトリア時代の背景については、英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian」や「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」の解説記事もご参考ください。 

アンティーク ヴィクトリアン スターリングシルバー バターナイフ





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