英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 20236 ベル鳴らし人のギルド Good Luck シルバーベル&船舵 モチーフ 銀フォブ ペンダントヘッド with エナメルワーク
縦の長さ(留め具含む) 3.8cm、本体円周部の直径 2.5cm、厚み 1.5mm、重さ 6g、1930年 バーミンガム、一万七千円

グッドラック シルバーベル& 船舵 モチーフのスターリングシルバー フォブで、今から八十年以上前の1930年に作られた銀製品であることが、ブリティッシュ ホールマークを読み取ることで分かります。 当時のイギリス社会を映すアンティークであることに興味を惹かれます。

青色のエナメルワーク地に書かれている『Hereford Diocesan Guild of Bell Ringers』を日本語にしてみれば、『ヘレフォード 教会管区 振鈴者 同業組合』となりましょう。 また、全体のフォルムが船舵となっているところも、この銀製アンティークのポイントです。

ギルドというのは同業組合のことで、そういえば、世界史の授業で習った記憶があります。 Bell Ringers=ベル鳴らし人のギルドとは、なんとも悠長で、その言葉そのものから既にしてアンティークな雰囲気が漂ってまいります。

かつてのイギリスにはさまざまな同業組合があったわけですが、ベル鳴らし人=振鈴者 同業組合とは、忙しい二十一世紀の今日ではちょっと想像し難いもので、ゆったりしたそういう組合が、古きよき時代にはあったということに、なんだかほっとする、そんな銀製アンティークと感じます。

私の家の周りでは、日曜の午前と水曜の夕方には近くの教会から鐘の音が聞こえてきます。 あるいは結婚式がある時には、ずいぶん盛大に鐘の音が響き渡ります。 今ではボランティアの人たちが鐘を鳴らしたり、機械仕掛けの方が多いと聞きますが、その昔のイギリスではベルリンガー ギルド(ベル鳴らし人同業組合)の人たちが仕事にしていた時代もあったそうです。

ベルリンガー(振鈴者 orベル鳴らし人)とは、どんなものか、こんな映像を見つけましたのでご参考ください。
https://www.youtube.com/watch?v=WgPadl4qZ4w
https://www.youtube.com/watch?v=inI0KWRO2mw

ヒュー・グラント主演の映画 『フォー・ウェディング』(Four Weddings and a Funeral)では教会の鐘が鳴り響く場面がたくさんあります。 結婚式の教会の鐘の音っていいもんだなと聞きましたが、裏方さんの様子を知ると、けっこうたくさんな人たちで、いい運動になりそうな様子。 

裏面にはブリティッシュホールマークがしっかり刻印されているのも、この品のよい特徴です。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1930年のデートレターとなります。

ベルのモチーフは教会における結婚式の鐘(Marriage Bells)を連想させます。 また、英語には「sound as a bell (申し分ない状態で or きわめて健康で)」という言い回しがあり、ベルのよい意味合いが見て取れます。 さらには写真の品の場合は純銀製で、シルバーという素材は幸福に通じることからことから、銀のベルはグッドラック モチーフになりましょう。 

もう一つ、船舵フォルムについてですが、モチーフとしてのホイールはTime(時の経過)、Fortune(運勢、幸運、財産)、Sun(太陽)等をシンボライズするデザインです。 また、クリスチャンモチーフとしての意味合いにおいては、セント・.キャサリンを表象するデザインとされます。 そうした中で特に中世の昔にあってはFortuneの意味合いが重視されていました。 パリのノートルダム寺院やアミアン大聖堂のゴシック建築に見られる中世の円形窓は、Wheel of Fortuneを表現していると言われます。

時をくだって、船舵のデザインはマリンモチーフが流行った頃の影響が出ているとも考えられます。 エドワーディアンの頃にかけて、ブライトンなどの海浜リゾートが賑わって、ロープや船の舵、波、シーガル、ヨットといったマリンモチーフが人気となったのです。 そしてマリンモチーフの中でも船舵デザインは、未知の海原に途を切り拓いていくポジティブイメージを示すデザインとして好まれたものです。

ラッキーモチーフとしてのベルに加えて、航路を切り拓いていく船舵のよい意味合いも重ね合わせて、縁起物アクセサリーとして使ってみたいと思い、私はデスクの前の見えるところに飾っています。 

エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金銀などの貴金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説があります。 

ベル鳴らし人のギルド Good Luck シルバーベル&船舵 モチーフ 銀フォブ ペンダントヘッド with エナメルワーク

イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ