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No. 19361 Forget-me-not (勿忘草) &バスケット ローズゴールド デコレーション スターリングシルバー ブローチ with ブリティッシュ シルバー ホールマーク
横の長さ 4.6cm、最大縦長 2.0cm、留め具ピンを含む最大厚み 8mm、1917年 バーミンガム アセイオフィス、16800円

今から百年ほど前に作られたスターリングシルバーのブローチです。 ほとんど使われることなく現在に至っているようで、コンディションのよいアンティークです。

写真二番目のように裏面には、下部の左に三つ、右に一つのブリティッシュ シルバー ホールマークが、どれもしっかり深く刻印されています。 ホールマークは右から順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1917年のデートレターになります。

バスケットの左右には、繊細な小花の彫刻が施してあります、花の様子からみてForget-me-not (勿忘草) でありましょう。 

ローズゴールドとシルバーのコントラストが楽しめるのもポイントになっています。 バスケットの飾り部分はローズゴールドの薄板が載ったつくりです。 

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。

ローズゴールド部分のエングレービングは彫刻線の強弱がよく効いて美しい仕上がりになっています。 ブライトカット様の深めな彫りは光を美しく反射し、また微細な直線カットを重ねた彫りやジグザグカットの配列など、様々な技巧が施されていて、アンティークハント用のルーペが一本あれば楽しみも増すと思います。 

フラワーバスケットに勿忘草というデザインは、当時の定番モチーフの一つと言ってよいでしょう。

わすれな草はヨーロッパを原産とする、薄青色の小花が可憐な一年草で、信実とか友愛のシンボルとされます。 花言葉は「Forget-me-not」そのもので、「忘れないで」です。

「Forget-me-not」はイギリスのフィールドでよく見られる花で、昔から咳止めなどの薬草としても使われてきましたので、人気があって役に立つ花です。 イギリスの勿忘草は、細かく言うと四つほど種類があります。 野原で一般的なのは「フィールド勿忘草」、森の中で見られる「ウッド勿忘草」はやや大型です。 イエローからブルーに色が変わっていくのが「チェインジング勿忘草」で、ふさが特徴の「タフティド勿忘草」もあります。

日本語で「忘れな草」を「勿忘草」と書くと、漢文調な雰囲気で古っぽく見えて、万葉集や古今和歌集にも出てきそうな日本古来の野草のようにも感じます。 実際には「Forget-me-not」が日本にやってきたのは、百年とちょっと前のことで、「勿忘草」or「わすれな草」と訳語の日本名が付けられたのは、日露戦争があった1905年のことでした。

それでは、イギリスではどうかと言うと、これまた日本と同じ事情で、実は「Forget-me-not」という名前は舶来品の訳語でありました。 「Forget-me-not」という花の名は、元々は中世ドイツの伝説が起源で、ドイツ語の「忘れないで!」というのが、根っこになって世界中に広がっていったのです。 この伝説をもとにしたポエムをイギリス人のサミュエル・コルリッジが書いたのが1802年でありました。 そしてこれが英語の中に「Forget-me-not」が受容されるきっかけになったのです。

ドイツ起源の「勿忘草」がデンマークやスウェーデンに伝わり、そしてフランスに伝わり、イギリスに入ってきたのが1802年、それから百年ほどして日本へ、言葉の伝播の歴史も興味深く思います。
Forget-me-not (勿忘草) &バスケット ローズゴールド デコレーション スターリングシルバー ブローチ with ブリティッシュ シルバー ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)

Forget-me-not (勿忘草) &バスケット ローズゴールド デコレーション スターリングシルバー ブローチ with ブリティッシュ シルバー ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)

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