英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 19198 ヴィクトリアン スターリングシルバー フォーク
長さ 16.4cm、重さ 33g、柄の最大幅 2.1cm、柄の最大厚み 2mm強、1879年 ロンドン、Martin, Hall & Co Ltd作、一万八千円

今から百三十年前に作られたスターリングシルバーのフォークで、両面に施された小花のエングレービングが綺麗です。 柄幅が広く作ってあり、ゴージャス感のあるヴィクトリアン アンティークとなっています。

33グラムという持ちはかりは、銀をたっぷり使って作られたシルバーウェアであることを示しています。 手にしてみても、銀の重さが心地よく、美しい中にも重厚感のある作りは、ヴィクトリアン中期の質実剛健といった気風がよく出ているように思います。

写真二番目で見える裏面のホールマークは順に「Martin, Hall & Co Ltd」のメーカーズマークである「RMEH」、ロンドン レオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1879年のデートレター、そしてヴィクトリア女王の横顔マークです。

メーカーズマークの「RMEH」は銀工房の共同パートナーであった、リチャード・マーチンと エベネザー・ホールのイニシャルを示していますが、この銀工房の歴史は次のようなものです。

「Martin, Hall & Co Ltd」の前身はジョン・ロバーツが1820年に始めた銀工房です。 ジョンには後継ぎがなかったので、ダービーシャーにあった中等学校の校長宛に、頭の良い若者がいたら後継ぎ候補に紹介してほしいと手紙を書きました。 学校長の紹介でジョンの徒弟に入ったのが、当時16歳のエベネザー・ホールで、1836年のことでした。 

彼は10年間の修業を積んだ後に、親方であるジョンと対等なパートナーに昇格して、工房名も「Roberts & Hall」となりました。 ロバーツの引退後には、新たにリチャード・マーチンをパートナーに迎えて、「Martin, Hall & Co Ltd」へと発展していきました。 そしてこの頃には1851年の万国博覧会、1862年のインターナショナル エキシビジョン等に出展するシェフィールドの有名メーカーになっていたのです。

工房の歴史を調べてみると、当時の英国社会の様子が垣間見れるので、興味が深まります。

それから、デートレターをご覧いただくと、その形が盾状をしていて特徴があります。 ロンドンアセイオフィスにおける19世紀のほぼ第四四半期にあたる1877年から1895年までのデートレター サイクルは「盾」と覚えておかれると、アンティークハントの時には便利です。 この時代はイギリスの国力が大いに伸張した時期にあたることから、今日においてもこの頃のアンティークに出会う可能性も高いのです。 デートレターをすべて暗記することは難しくても、「ロンドンの盾はヴィクトリアン後期」と知っておくと便利でしょう。

この品が作られたヴィクトリア時代の背景については、「英国アンティーク情報」欄の「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」や「14.Still Victorian」の解説記事もご参考ください。

ヴィクトリアン スターリングシルバー フォーク

裏面の様子
ヴィクトリアン スターリングシルバー クリスティング フォーク

イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ