*英国 アンティーク 英吉利物屋 トップへ 新着品物 一覧へ アンティーク情報一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No.19110 スターリングシルバー ジャムスプーン with ピアストワーク
長さ 13.8cm、重さ 18g、最大幅 3.4cm、透かし柄の最大幅 1.7cm、ボールの深さ 6mm、1912年 シェフィールド、Martin, Hall & Co Ltd作、14,800円

今から百年以上前に作られたスターリングシルバーのジャムスプーンになります。 

柄に施されたピアストワークが印象的な美しさとなっていますが、幅のある柄先から一気にくびれたシェイプからみても、エドワーディアン好みに仕上げられたジャムスプーンと感じます。 正式にはエドワーディアンの時代が終ってから二年後に作られていますが、まだ第一次大戦が始まる前の頃で、様ョ的にも時代の雰囲気からみてもエドワーディアンの作と言ってよいでしょう。

ハ真O番目に見えるホールマークは順uAMartin, Hall & Co Ltd」のメーカーズマーク、1912年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスの王冠マークになります。

このジャムスプーンを作ったシルバースミスの歴史を知ると、ヴィクトリア梠繧フ銀工房のあり方の一端が分かって興味深いので、ご紹介してみましょう。 

「Martin, Hall & Co Ltd」の前身はジョン・ロバーツが1820年に始めた銀工房です。 ジョンには後継ぎがなかったので、ダービーシャーにあった中等学校の校長宛に、頭の良い若者がいたら後継ぎ候補に紹介してほしいと手紙を書きました。 学校長の紹介でジョンの徒弟に入ったのが、当16歳のエベネザー・ホールで、1836年のことでした。 

彼は10年間の修業を積んだ後に、親方であるジョンと対等なパートナーに昇格して、工房名も「Roberts & Hall」となりました。 ロバーツの引退後には、新たにリチャード・マーチンをパートナーに迎えて、「Martin, Hall & Co Ltd」へと発展していきました。 そしてこの頃には1851年の万国迫莱、1862年のインターナショナル エキシビジョン等に出展するシェフィールドの有名メーカーになっていたのです。

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It will become an antique in four years. (この品はあと四年でアンティークになります。)」というような言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年撃フ経過は大きなメルクマールになりますので、こういう会話がなされる機会も多いのです。 

ハ真の銀製品が作られたのは1912年ですから、正式なアンティークに昇格した物品ということになります。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、この銀のジャムスプーンには、そんな楽しみ方もあるかと思うのです。

歴史を振り返ってみますと、この品が使われたのは第一次世界大戦の頃になります。 その頃の出来魔ニして、今から百年前の1912年にはタイタニック号氷Rに衝突して沈没とか、あるいは日本では明治時代が終って大正時代になり、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

スターリングシルバー ジャムスプーン with ピアストワーク





英国 アンティーク 英吉利物屋 トップへ 新着品物 一覧へ アンティーク情報一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ