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No.19021 マッピン&ウェブ エドワーディアン スターリングシルバー サービング フォーク
長さ 21.1cm、重さ 91g、最大幅 5.0cm、柄の最大幅 2.35cm、柄の最大厚み 4.5mm、1911年 シェフィールド、Mappin & Webb作、

かなり大きな銀器で、百グラムに近い持ちはかりにはグッときましたし、「Mappin & Webb」の名前にも惹かれて求めました。 持った感じがしっかりしているのは、まことに英国風ですし、古い品ながら、コンディション良好で綺麗なのもよいでしょう。

柄の厚みは最大で4.5ミリほどあります。 91グラムという持ちはかりは、サーバーとしてもかなりなものです。 厚みがあるのは柄ばかりでなく、フォーク先に向かっても銀に厚みがあってしっかり作られていることが、全体の持ちはかりに反映されています。 手にしてみて、銀の重みが心地よい重厚なアンティークと思います。  

エドワーディアンの時代が終わってすぐの頃に作られていますが、デザイン上の区分としてはエドワーディアンといって差し支えないでしょう。 

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 このサーバーが作られたのは1911年ですから、正式なアンティークに昇格している銀というわけです。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、この銀器には、そんな楽しみ方もあると思うのです。

やはり百年という時の経過は大変なことと思います。 ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、写真の品が作られた頃の出来事として、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、あるいは日本では明治時代が終って大正時代になり、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。

この銀のサーバーが作られた時代というのは、電球も無かった時代なわけで、こうしたアンティークを手にしながら、その昔の時代に思いを馳せるのはアンティーク好きの楽しみでありましょう。

ブリティッシュ ホールマークがどれもしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 裏面のホールマークは順にシェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1911年のデートレター、そして「Mappin & Webb」のメーカーズマークになります。

メーカーは言わずと知れた有名工房ですが、このシルバースミスの歴史をご紹介しましょう。

マッピン関連のアンティークを扱っていると、「Mappin & Webb」とよく似た名前の「Mappin Brothers」というシルバースミスに出会うことがあります。
「Mappin Brothers」は1810年にジョセフ マッピンが創業した工房で、彼には四人の後継ぎ息子がありました。四人は上から順にフレデリック、エドワード、チャールズ、そしてジョンで、年長の者から順番に父親の見習いを勤めて成長し、1850年頃には引退した父ジョセフに代わって、四兄弟が工房を支えていました。

ところが末っ子のジョンは、工房の運営をめぐって次第に兄たちと意見が合わなくなり、ついに1859年には「Mappin Brothers」を辞めて独立し、「Mappin & Co」という銀工房を立ち上げました。 以後しばらくの間、「Mappin Brothers」と「Mappin & Co」は「元祖マッピン家」を主張しあって争うことになります。

しかし最初のうちは「Mappin Brothers」の方が勢力があったこともあり、1863年には末っ子ジョンの「Mappin & Co」は「Mappin & Webb」に改名することとなりました。 Webbというのはジョンのパートナーであったジョージ ウェブの名から来ています。

「元祖マッピン家」問題では遅れをとったジョンでしたが、兄たちよりも商売センスがあったようです。 スターリングシルバー製品以外に、シルバープレートの普及品にも力を入れ、目新しい趣向を凝らした品や新鮮なデザインの品を次々と打ち出し、しかも宣伝上手だったのです。 ヴィクトリアン後期には当時の新興階級の間でもっとも受け入れられるメーカーに成長し、それ以降のさらなる飛躍に向けて磐石な基盤が整いました。

20世紀に入ってからの「Mappin & Webb」は、「Walker & Hall」や「Goldsmiths & Silversmiths Co」といったライバルの有名メーカーを次々にその傘下に収めて大きくなり、今日に至っています。 また「Mappin Brothers」ですが、時代の波に乗り切れなかったのか、1902年には「Mappin & Webb」に吸収されてしまっています。

「Mappin & Webb」については、英国アンティーク情報欄の「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」にも説明があります。

マッピン&ウェブ エドワーディアン スターリングシルバー サービング フォーク


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