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No. 19010 スターリングシルバー ペーパーナイフ with マザー オブ パール ハンドル
長さ 17.3cm、重さ 26g、柄の最大幅 1.3cm、マザー オブ パール柄の最大厚み 0.7cm、1926年 シェフィールド、James Dixon & Son作、7,800円

今から九十年近く前に作られたスターリングシルバーのペーパーナイフです。 メーカーは有名どころの銀工房で、James Dixon & Sonとなっています。 

ブレード部分には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されています。 写真三番目に見えるホールマークは順に、「James Dixon & Son」のメーカーズマーク、1926年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールドアセイオフィスの王冠マークです。 

シルバースミスの「James Dixon & Son」は、1806年創業、家族的な経営で、職人さんの中には、親、子、孫…と5世代にもわたり、ここで銀製品を作り続けた方もいらしたようです。 シェフィールドで創業後、順調に発展し、1873年にはロンドン進出を果たしました。 1900年頃にはロンドンのお店は5つに増えていました、また1912年にはオーストラリアのシドニーにも支店を開いています。 1851年のロンドン万国博覧会には多くの作品を出品したとの記録が残っており、その後20世紀初頭にかけて、海外での展覧会にも出展し、パリ、メルボルン、ミラノ等で名声を博しました。 

銀工房は一般に、その創業がヴィクトリア期というケースが多いのですが、「James Dixon & Son」は創業1806年と、ジョージアンの時代にまで遡れる老舗シルバースミスで、評価の高いメーカーの一つと言ってよいでしょう。

17センチほどの長さがあり、サイズ的にはデザートナイフというところですが、写真四番目に見えるように、マザー オブ パール ハンドルが柄先に向って細身になっていくフォルムからすると、ペーパーナイフとして形状デザインされたものと思います。

ナイフの背に沿ったラインは手彫りの彫刻です。 中ほどにクルッと周ったスパイラルが施されているのは、ケルティック モチーフを意識した可能性も感じられ、興味深く見ております。

「Spiral=渦巻き、螺旋」というのは、とても重要なケルティックモチーフで、渦巻きは太陽を象徴し、そこからGrowth(成長)、Expansion(拡大)、Energy(活力)の意味合いが導かれます。 イギリスにおけるケルティック リバイバルの潮流の中で渦巻き様のウェーブパターンが流行っていった経緯があります。

ハンドルに使われているマザーオブ パールという素材は、ミルクホワイトの輝きが内側からこぼれてくるようで、光に当たると見えてくるうっすらとした虹色の輝きが綺麗です。 写真のペーパーナイフの場合には、木漏れ日のような光の反射が美しいことは言うまでもないことですが、手にしてみると、マザー オブ パールのなめらかなカーブには品のよさが感じられて好印象です。

マザー オブ パールの品をお買い上げいただいたお客様から、次のようなお便りをいただきましたので、ご紹介させていただきます。
『取手の白蝶貝のうっすらとした輝きがとても綺麗です。 まるで、嵐が来る前の空のようだと思いました。 上空を凄い速さで白い雲が流れていく中、時折、空全体がぱあっと明るくなる様子を髣髴とさせます。』

イギリスは一日の中でもお天気の移り変わりが激しくて、さっきまで晴れていたかと思うと、一転してにわかに雲が天を覆うことも多く、お客様からの文章にあったような光景をしばしば目にいたします。 なるほどと、マザーオブパールをとてもよく形容しているように思いました。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 写真の品は正式な‘アンティーク’の仲間入りを果たすまで、あと十年ほど、節目の百年が見えてきております。 気に入った古いものを身近で使っていくうちに、一世紀という節目の年月を迎えられることはコレクターの喜びとも言え、このシルバー アンティークにはそんな楽しみ方もあると思うのです。

そして、イギリスのアンティーク シルバーを手にする大きなメリットの一つに、刻印されたデートレターを判読することによって、アンティークの製作年を一年刻みで特定できることがあります。 英国のホールマーク制度は、その歴史の長さ、制度の継続性、シルバースミスへの徹底の度合い等すべての面で欧州諸国の中でもピカイチなのです。

これは、一つには英国人の国民性によるところが大きいように思います。 博物学を発展させてきたイギリス人は、物事を整理分類するのが大好きで、500年以上にわたりホールマーク制度を維持し発展させてきました。

欧州諸国のホールマークは、ある特定の時代だけだったり、市場が小さく制度が徹底されていなかったりと不備なことが多いようです。 また旅してみると感じるのですが、欧州人にも気質の違いがあって、偏見かも知れませんが、同じことをイタリア人やスペイン人に要求しても、無理な感じがしないでもありません。

『International Hallmarks on Silver』という本を使うと、過去数百年にわたって各国のシルバーホールマーク体系が概観できます。 ざっくり申し上げると、北欧やオランダのホールマーク体系はイギリス寄りで比較的しっかり出来ていて、ラテン系の南欧諸国はちょっとゆるいといったところでしょうか。









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