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No. 18844 エドワーディアン Queen Anne パターン スターリングシルバー ナイフ
長さ 13.4cm、重さ 16g、ブレードの最大幅 1.65cm、柄の最大幅 1.35cm、1901年 ロンドン、Josiah Williams & Co.作、7,800円

今から百二十年ほど前の、ヴィクトリア時代が終わりエドワーディアンになったばかりの頃に作られたスターリングシルバーのナイフです。 もともとの用途であるバターナイフとして使っていただけるのはもちろんですが、左右対称なフォルムと適度なサイズからすると、レター開封用のペーパーナイフとして使うのもよいなと思います。

柄先のデザインは Queen Anne パターンと呼ばれます。 このデザインは1880年代にイギリスで初めて登場し1900年頃にはかなりの人気となりました。 あるいは別名ではオーバニー(Albany)パターンと呼ばれることもあります。 ヴィクトリア期の有力シルバースミスであるフランシス・ヒギンスのパターンブックで、 Queen Anneパターンとされて以来、Albany あるいは Queen Anneと両方の名前が使われるようになりました。

写真二番目に見えるホールマークは順にロンドン レオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1901年のデートレター、そして「Josiah Williams & Co.」のメーカーズマークになります。 

一般にヴィクトリア時代創業のシルバースミスが多い中にあって、この品を作ったJosiah Williams & Co.はジョージアンの時代に始まった老舗の一つになります。 1800年創業のJosiah Williams & Co.はブリストルのメーカーで、地方では最大のシルバースミスでした。 メーカーズマークは当時の共同パートナーであった二人、George Jackson & David Fullertonの頭文字GJDFが刻まれています。 

今日でも中世の街並みや大聖堂が美しいブリストルは、16世紀にはエイボン川河口の貿易港として栄え、その後はイングランド南西部の主要都市として発展しました。 しかし大きな都市であったがゆえに、第二次大戦中の1940年11月24日にはドイツ軍による空襲を受け、Josiah Williams & Co.も工房を失い、残念ながら140年の歴史に幕を閉じました。

デイビット・スーシェ主演のポワロシリーズにある『The ABC Murders』を見ていましたら、ポワロとヘイスティングスが夕食中に、その日最終の郵便配達があって、レターの開封に食事用のナイフを使う場面がありました。 このデイビット・スーシェのポワロシリーズは、1930年代の英国が舞台に設定されており、ディテールにこだわって見ていくと、いろいろとアンティークを楽しむ上での発見があります。 急ぎの手紙でもナイフがそばにあれば、ナイフを手にするのだなあとか。 また、そもそも、この郵便の配達はかなり夜遅くに来ていることも興味深く見ました。 原作で確認してみましたら、「It was on Friday that ABC's third letter came.  Evening post arrived about ten o'clock. 」とありました。 当時は一日のうちに何度も郵便配達があって、最終便は夜の十時に配達があったなんて、ちょっと驚きです。

ついでながら、アガサ・クリスティー 『The ABC Murders』の原作は1936年に書かれています。 またDVDの中でヘイスティングスが開封するレターの消印は1936年となっておりましたので、これまたぴったり1936年の時代設定と分かります。

この品が作られた当時の時代背景については、英国アンティーク情報欄にあります 「14. Still Victorian」の解説記事もご参考まで。

エドワーディアン Queen Anne パターン スターリングシルバー ナイフ

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