英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 18782 British Railways、London ブラス ボタン 
ボタンの直径 1.6cm、重さ 2g、ボタン本体の厚み 6mm、裏面の留め金部分を含めた最大厚み 12mm、一つ 八百円

イギリス国鉄のブラスボタンで、車輪の上下にBRITISH RAILWAYSの文字が入っています。 写真二番目で見えるように、裏面にはボタンメーカーの名前と、LONDONの文字があるのもよいでしょう。

British Railways のブラスボタンということですが、イギリスの鉄道は民営化されて、イギリス国鉄は既に無くなっておりますので、ノスタルジーの対象となります。 イギリスにおける鉄道の歴史を見てみると、初めは民営だった鉄道が国有化されて、その後また民営に戻ったという経緯があります。

ポワロシリーズの『ABC殺人事件』は、推理小説としては旅情もののはしりとも考えられ、ポワロとヘイスティングスが鉄道でイギリス各地に出かけます。 そもそも「ABC」とは、ヴィクトリア時代に創刊された「ABC時刻表(ABC Alphabetical Railway Guide)」のことでもあり、鉄道駅や客車コンパートメントでのシーンが多いので、古きよきイギリスの鉄道時代が偲ばれる映像作品です。 British Railways ブラス ボタン アンティークと合わせてお薦めしたいと思います。

イギリスは世界で初めて鉄道網を完成させた国であり、ヴィクトリア時代の大発展は鉄道の発達によるところ大でありました。 イギリス人の鉄道に対する思い入れは、相当なものだと感じます。

当時のイギリスは鉄道狂時代と呼ばれます。 「情報を吸収し、発信し、広める力という観点で見れば、人生が二倍になる。…地方ごとの違いと対立を生み出している偏見と狭量が、この高貴な発明によって解消されていく。」 現在進行中のIT革命の話かと思いきや、そうではなくて、これは百六十年ほど前に鉄道投資熱で浮かれていた頃のイギリスの新聞記事なのです。 

1845年にはイギリス中で約600路線の鉄道開設が進められていたそうです。 世の中は次第に鉄道投機熱に浮かれていきます。 そしてついに 1849年には鉄道バブルが弾けてしまったわけですが、それでも鉄道網は残ったことは、イギリスにとって幸いでした。 

『19世紀の英国(Harvie & Matthew著)』によれば、1848年には英国内の鉄道総延長は8000マイル(=12800km)に達し、北はスコットランドのアバディーンから南はプリマスまで、イギリスの鉄道網はほぼ完成しました。 ヴィクトリア時代の大発展の基礎が出来上がったのです。

イギリスの鉄道発達史を眺めていて、面白いと思われるのは、イギリスでは民間会社がどんどん鉄道を作っていって、国が主導するということがなかった点です。 日本の鉄道史を考えてみれば、まずは国家が鉄道を計画して、日本を豊かにしようと国中に広げていくのが当たり前だったように思うのですが。

歴史を紐解くと、資本主義の先進国であったヴィクトリア時代のイギリスにおいては、鉄道の延長はまったく民間にゆだねられていました。 ところが、計画性のない無秩序な鉄道建設にはやはり問題もありました。 儲かりそうだとなると、同じく区間に複数の鉄道が敷かれたり、あるいはまた、何でそんなところにというような場当たり的な鉄道敷設もあったのでした。

そんなわけで、鉄道の中には商業的に採算割れとなって破綻の末路をたどっていくものも少なからずありました。 ところが、イギリス人の面白いところは、そうした昔の破綻鉄道の多くが現在では観光用になって、今でも蒸気機関車を走らせる観光鉄道としてイギリス各地に数多くあることです。 イギリス人のアンティーク好きと鉄道に対する思い入れが合わさった結果なのでしょう。 

鉄道に関連して、英国アンティーク情報欄にあります「37. アンティークと歴史経済の大循環について」もご参考まで。

この記事を書いていて、私の子供の頃には西武園遊園地の辺りに「おとぎ列車」があったことを思い出しました。 アンティークな軽便鉄道に蒸気機関車が走る路線でありました。 子供の頃の思い出に残っており、懐かしくなって調べてみたら、今はもうなくなったとのこと、残念に思いました。 

「おとぎ列車」のようなアンティーク鉄道が、イギリス各地にはけっこうたくさん残っているのですが、採算的に合うのかなあと、ちょっと心配になるほどです。 これもイギリス人アンティーク魂のなせる業なのでしょうか。

ブラスという素材はパブのカウンターとか、マナーハウスのドアノブなど英国の昔ものには欠かせない素材で、磨き上げられたブラスの光沢は落ち着きと品があって、英国風を感じさせます。 ブラスのボタンを「金ボタン」と呼ぶことがありますが、写真のボタンもブラス磨きでお手入れすれば、いわゆる金ボタンの輝きを取り戻すことでしょう。

ブラスのお手入れについては、ブラス専用の磨き液がありますので、ご紹介しておきましょう。 私はReckitt & Colman社のBrassoという磨き液を使っています。 スペイン製ですが、なぜか缶の表には英国王室御用達のQE2マークがあります。 イギリス人はブラス好きで、昔から英国風には欠かせない素材であったことが関係あるのかも知れません。 Brasso液を布につけてブラスボタンを磨くと、ピカピカになります。

それから日本でも簡単に手に入るお手入れ用品として、日本磨料工業製の『ピカール』という品もあります。 使い比べてみて、ピカールの方が用途が広くて便利かも知れません。

ブラス ボタン British Railways

ブラス ボタン British Railways

イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ