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No. 18741  三脚付 シルバープレート 飾り皿 with コート オブ アームズ(紋章)
直径 21.8cm、高さ 3.2cm、重さ 467g、三脚の長さ 3.0cm、一万二千八百円

シルバープレートの飾り皿になります。 写真三番目で裏面のようすがご覧いただけますが、三脚付であるところも気に入りました。 写真一番目をご覧いただくと、お皿の中央には紋章のエングレービングがあります。 彫りが浅めではっきりとしないのですが、鳥が旗竿を持ったデザインの紋章と思います。 下部には横棒のように見えるリースが認められますので、全体でクレストを構成していると判断できます。

シルバープレートが施されておりますが、所々プレートが薄くなって、銅の赤みがかった色合いが見えております。 ベースメタルが銅製であることがうかがい知れて、紋章があることもあわせますと、かなり古い品ではないかと見ております。 紋章の近くにややキズがありますが、これは古いアンティークの味わいの範囲でありましょう。

サルヴァの使い方について、ポワロの話と絡めてひとつご紹介しておきます。 デイビット・スーシェのテレビシリーズで、『The Incredible Theft』という話があって、その37分あたりに、Salverに執事が手紙を置くシーンがありました。

脚のない金属製のお盆であったようで、手紙置きとしては、今回の15567 飾り皿の方が適当かも知れないと思って見ました。

ドラマの中では「Salverの上に手紙が確かに置いてあった。」という台詞がありました。 辞書を引きますと、Salver=〔飲食物を運ぶための〕金属製の盆とありますが、飲食物に限らず、手紙などを置く用途もあった事例と思います。

紋章の基礎知識について、少しお話しましょう。 紋章はコート オブ アームズと言うのが一般には正式です。 クレストという言葉もありますが、クレストとは紋章の天辺にある飾りを言います。 紋章の各部分の名称として、例えば英国王室の紋章の両サイドにいるライオンとユニコーンの部分をサポーターと言い、中央の盾状部分をシールドまたはエスカッシャンと言います。 さらに細かく言うと、写真の飾り皿に刻まれた紋章では鳥の足元に棒状の飾りが見えますが、これはクレストの台座であって、リースと呼ばれます。

ただし、紋章のすべてを描いて使うのは、大掛かり過ぎるので、その一部をもって紋章とされることも多く、中紋章とか大紋章という言い方もあります。 しかし、その区別は厳密でないので、紋章の一部をもってコートオブアームズという言い方をしても差し支えありません。

コート オブ アームズ(=紋章)を使っていた人々とは、どういう階層の人たちであったのか、考えてみました。

コート オブ アームズの体系化や研究は、イギリスにおいて九百年ほどの歴史を持っており、紋章学(Heraldry)は大学以上の高等教育で学ぶ歴史学の一分野となっています。 中世ヨーロッパにおいては、多くの国々に紋章を管理する国家機関がありました。 今ではなくなっているのが普通ですが、面白いことにイギリスでは紋章院がまだ活動を続けています。

今日のイギリスは品のよい国のように見られることが多いですが、歴史を紐解きますと、節操のないことで名高い時代も長くありました。 キャプテン・ドレークは世界を航海して略奪をきわめて、当時の国家予算に匹敵するほどの金銀財宝を奪って帰ってきたので、エリザベス一世から叙勲を受けました。 お金がすべてという傾向は、紋章院においてもあったようです。

紋章学や紋章院の働きについて書かれた本が、『HERALDRY IN ENGLAND』(Anthony Wagner著、Penguin Books、1946年刊)です。

この本によりますと、紋章院が認めてきたコート オブ アームズは四万あるとのこと。
一方で英国の王侯貴族にあたる家柄は千足らずとなっています。

この数字のバランスから分かることは、第一にコート オブ アームズは王侯貴族だけのものではないこと。 第二に、そうは言っても、代々伝わるコート オブ アームズがある家系は、英国の中でも数パーセントに過ぎず、その意味で日本における家紋とはだいぶ違っていること。

産業革命が進行して、新興富裕層が厚くなってきたのがヴィクトリア時代の初め頃になります。 当時の富裕層はコート オブ アームズを求めましたし、また求めれば手に入る性質のものであったようです。

三脚付 シルバープレート 飾り皿 with コート オブ アームズ(紋章)




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