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No. 18635 ヴィクトリアン スターリングシルバー ゴールドジュビリー 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド
ペンダントヘッドの直径 1.75cm、留め具を含む縦長 2.6cm、チェーンは付属していません、銀貨は1887年鋳造、5,800円

イギリスでは銀貨のペンダントヘッドを時に見かけます。 シリング銀貨と比べて、ハ真の銀貨は小振りなサイズになりますが、かえってこのくらいのサイズの方が使いやすいということもあろうかと思います。

ヴィクトリア女王戴冠五十年のジュビリー記念銀貨が、銀のフレームに入っています。 ハ真一番目の表の様qはヴィクトリア女王の若かりし頃の横顔で、ヤング ヴィクトリア ヘッドと呼ばれます。 裏面は写真二番目に見えるように、数嘯フ「3」の上にクラウンが載ったデザインです。 「3」と王冠の両サイドに分かれて、銀貨鋳造年の「1887」が見えています。

女王の若かりし頃はナショナル ポートレートギャラリーにある肖像画でご覧いただけるのですが、以下に写真がありますのでご参考まで。 「英国アンティーク情報記磨A14. Still Victorian

ヴィクトリア梠繧ヘ1837年に始まりましたが、それから50年が経った1887年はゴールドジュビリーの記念の年となっていたわけです。 銀貨もフレームもすべてスターリングシルバーというのがポイントです。 フレーム下部には「SILVER」の刻印があります。 

ヴィクトリア梠繧ノは、大はクラウン銀貨に始まって、各銀貨が使われましたが、3ペンス銀貨は銀貨としては最小額になります。 最少額とは言えども銀貨であるわけで、そのあたりに面白さを感じます。 

イギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「3ペンス」=「l分の一 シリング」になります。 ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計Zするのも億劫です。

1971年になってようやく旧通貨制度が廃~され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

この十二進法梠繧フ名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと翌ソ着かないのでしょう。 

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソン梠繧フイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい征服メが「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。

ヴィクトリア梠繧フイギリス貨幣制度であった金銀複本位制とはどんなものか、もう少し考えてみましょう。

ヴィクトリア梠繧ノはクラウン銀貨、ハーフ クラウン銀貨、シリング銀貨、6ペンス銀貨、3ペンス銀貨などが流通していました。 ここで1クラウンは5シリング(=0.25ポンド)にあたります。 それぞれの重さはクラウン銀貨28.28グラム、半クラウン銀貨14.14グラム、シリング銀貨5.66グラムです。 すなわちクラウン:半クラウン:シリング=5:2.5:1の関係がありました。 つまりは、ヴィクトリア梠繧フマネーは銀の重さによって、その価値が直接保証されていたのです。

さらに、高額貨幣であった金貨を通じて外国との関係を見てみましょう。 ヴィクトリア梠繧フイギリスでは、1ポンドの英国金貨は7.32グラムのゴールドとして定義されました。 そして米国の1ドルは1.50グラムのゴールドと1837年に決められました。 そうすると、金本位制を採用する英米二国間においては、1ポンドが4.88ドルとなって為替レートは固定されます。

この金本位制の仲間に、マルクやフランや円も加わることによって、国際金本位通貨体制が出来ていました。 ノーベル経済学賞のマンデル教授は、その本ソを分かりやすく表現しています。 「国際的な金本位制のもとでは、ポンド、フラン、マルク、円、ドル等々は、特定の重さのゴールドの名前にすぎない。」

現代では主要な通貨間では変動為替相場が一般ですが、ヴィクトリア梠繧フ国際社会においては、ゴールドをアンカーにした固定為替相場がスタンダードであったのです。 

古い時代の為替相場のお話でしたが、この問題は今日的なテーマでもあります。 このところ、双qの赤字(財政赤字と経常赤字)を抱えるギリシャが破綻しそうだ、ドイツは前向きに助けてくれるのかどうか、ユーロ圏では大問題になっております。 そして、「ギリシャ問題の解決を、ドイツの納税者に頼むことはできない。(独経済大臣)」というのがドイツの姿勢らしいです。 だらしないギリシャの財政赤字の尻拭いは反対というのがドイツ国民の感情で、ごもっともと言いたいところです。

ところが、この問題は、かつて列強国間の利害を調整できず、崩壊していった金本位制の再現バージョンとも考えられるのです。 ユーロの国々が、それぞれ別々の国でありながら、共通通貨ユーロを使うことは、ゴールドをアンカーに固定相場を採用していた昔の国々と、ほぼ同様な立場にあることを意味します。 

国民経済計Zの恒等ョ Y=C+I+G+NX を使って、Y(国民所得)と C(消費)と I(投早jを与件とすると、G(政府x出)と NX(純輸出)の間には結びつきがあって、財政赤字と経常赤字は同時に起こりがちと理解できます。 一方でドイツは輸出強国ですが、ユーロ圏内での貿易が過半を占めています。 ドイツの貿易黒嘯ヘ、ギリシャやスペインやポルトガル等々の貿易赤字なのです。

ユーロを導入したギリシャは、為替レートを固定されて、輸出強国ドイツの草刈場となってきたと言えなくもない状況です。 対するドイツは、共通通貨ユーロのおかげもあって貿易黒嘯積み上げやすく、ドイツが懸命に働いて貿易黒嘯増やすと、それがギリシャの貿易赤字と、ひいては財政赤字にも寄与する図ョが、すべてではないにしても、問題の根っこにあります。

共通通貨を導入したからには一蓮托生、ギリシャがだらしないから問題が起こったと言い切れない、本当は抜き差しならぬ関係になっているのですが、それをドイツの選挙民に説明できるドイツの政治家はあまりいないでしょう。 一緒にユーロを使っているのに、そこから起こる問題に対して、「ギリシャ問題の解決を、ドイツの納税者に頼むことはできない。」となってしまうのは、通貨統合したけれども、政治が別々だからです。

百年前の国際金本位制は、結局のところ崩壊し、世界大戦につながっていきました。 ギリシャ問題を発端にユーロも崩壊していくのか、それともユーロ圏の政治統合が進んでいくのか、通貨ユーロの信任は?と考えていくと、ドルや円やゴールドや銀の値段にも跳ね返ってくる古くて新しい問題であって興味の尽きないところです。

ヴィクトリアン スターリングシルバー ゴールドジュビリー 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド

裏面の様q

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