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No. 18525 フリーメイソン 直角定規&ピタゴラスの定理 ピアストワーク スティールワーク 飾り
定規部分の長さ 10.2cm、重さ 82g、四角い飾りの縦横 3.65cm*3.0cm、本体の厚み(留め具含まず) 2mm、6,800円

ちょっと変わったデザインの品になりますが、以前に同様なデザインのアンティークを見たことがあり、フリーメイソンの関連アンティークであることや、四角飾りの意味合いについてピンときました。

素材はスティールで、かなり重たいオーナメントになります。 ヴィクトリアン アイアンワークの系譜上にある鉄飾りといってよいでしょう。

中央下の四角い飾り部分が揺らゆらするのも楽しげで素敵な品と思います。 その中にあるデザインはピタゴラスの三平方の定理を表象しています。 これは元々は石工のギルドとして出発したフリーメイソンにあっては、職業上の必須知識として幾何学が重要視されてきた歴史的背景があってのことです。

一般に“コンパス”と“直角定規”はフリーメイソンのシンボルで、コンパスは「道徳」を、そして直角定規は「真理」を表象しています。 このシンボルはニコラス・ケイジの映画『ナショナル・トレジャー』の中で、宝探しの手掛かりとしてたびたび登場していたので、これまでなじみがなかったとしても、映画を見た方はとても印象に残ったことと思います。

なお、『フリーメイソン コンパス &直角定規 ピアストワーク スターリングシルバー 飾り お守り』もご参考ください。

フリーメイソンとはイギリスで発生し世界に広まった秘密結社です。 日本語では秘密結社との言われ方が多いようですが、アメリカではフリーメイソンのメンバーはごく普通にどこにでもいるので、“秘密”というニュアンスはなくて、いわば親睦団体のようなものと言ってよいでしょう。 『大辞林』によれば、「博愛・自由・平等の実現を目指す世界的規模の団体。中世以来の熟練石工組合を母体として一八世紀初めイギリスで結成。 啓蒙主義精神を基調とし、多くの名士を会員に含むとされるが全容は明らかでない。」とあります。

映画 『ナショナル・トレジャー』では、フリーメイソンがストーリーの根幹を成しており、アメリカにおけるフリーメイソンの位置付けを知るよい手掛かりになります。 アメリカの独立戦争を指導したリーダーの多くはメイソンだったり、その後も歴代大統領の多くがメイソンだったということです。 映画のシーンにもありましたが、1ドル紙幣に描かれた「ピラミッドと一つ目の絵柄」も、『万物を見通す目』というメーソンのマークの一つで、アメリカ的価値とフリーメイソンには分かち難い関係があるようです。

さらに言えば、日本の戦後10年を主導した歴代首相の多くはフリーメイソンだったこともあり、日本とも大いに関係があります。

14世紀にフランス王フィリップ四世によって壊滅されたテンプル騎士団の残党がスコットランドへ逃れて、フリーメイソンを創始したという説があります。 中世のテンプル騎士団は金融業に長けていて、お金持ちでした。 それがフランス国王に狙われる原因にもなったわけですが、落ち武者がスコットランドまで逃れたという説は、大いにありそうに思います。

日本で言ったら、義経伝説のようなロマンがあっていいですね。 源義経がモンゴルに逃れてチンギス・ハーンになったというのは、ちょっと難しいかなと無理を感じますが、フリーメイソン=テンプル騎士団説は、可能性としては高そうに思います。

余談ながら、欧米で13日の金曜日が不吉とされる起源の一つに、フィリップ四世がテンプル騎士団の一斉検挙を開始したのが 1307年10月13日で、それが金曜日にあたっていたからとする説があります。

以下もご参考まで。 『革張り装丁 フリーメイソン 講義本

英国アンティークにはアイアン アンティークという専門分野があります。 イギリスには世界初の鉄橋で、ユネスコの世界遺産にもなっているアイアンブリッジという誰もが知っている観光地があって、英国人にとってアイアン アンティークと言われてまず思い浮かぶのは、この産業革命の遺産であるアイアンブリッジであることが多いようです。 

鉄の道具の歴史はかなり古いわけですが、ジョージアンの時代の中頃に始まった産業革命の影響が大きく、次のヴィクトリア時代を通じて、鉄製品が芸術的な領域にまで高められていきました。 ですからイギリスにおけるアイアン アンティークとは、この国の人たちにとって誇らしいアイアンブリッジや産業革命の延長線上にあって、ヴィクトリアンのノスタルジーを感じさせてくれるアンティーク分野であるのです。

金属細工人の中でも鍛冶屋さんをスミスあるいはブラックスミスと言いますが、主要な交通手段が馬や馬車であったヴィクトリア時代においては、ブラックスミスはとても重要な職業で、どこの村にも鍛冶屋さんがありました。 カンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは鍛冶屋さんでもあったという話がありますが、これなどは昔の時代にあっては鍛冶屋さん役割が重要であった証左とも言えましょう。

各方面に技術が進歩した現代ではちょっと想像がつき難い所でありますが、昔の時代にあっては鍛冶屋さんは長いあいだ社会の先端技術者であり続けました。 もっと遠い昔、ヒッタイトの時代には鍛冶屋の技術を修めれば征服者にもなれたことに思いをいたしてみるのもよいでしょう。

知り合いに先祖が鍛冶屋さんだった方があって、その方は電気関係のエンジニアですが、科学全般に造詣が深く鍛冶屋の仕事についても、いろいろ教えてもらいました。 赤錆、三酸化鉄、黒錆、五酸化鉄、鉄の焼入れ等々、錆も含めた鉄のコントロールについていろいろ習いました。 ごく簡単に言えば、赤錆は悪い錆びですが、黒錆=四酸化三鉄=トリアイアン・テトラオキサイド(triiron tetraoxide)は鉄を守るよい錆びです。 経験的に知っていたのかも知れませんが、こういう化学知識も備えもって鉄をコントロールしてきたのが、昔の鍛冶屋さんであったのです。

昔の鍛冶屋さんの仕事はと言えば、馬の蹄鉄を取り扱う以外にも、例えば、以下にありますような、パブサイン看板のアイアンフレームを作るような仕事もあったでしょう。 スケッチしましたパブ看板のフレームは、なかなかに見事な作品でありました。
http://www.igirisumonya.com/antiquecenter.htm

ヴィクトリア時代にはどこの村にもあった鍛冶屋さんと書きましたが、二十一世紀の現代でも、イギリスにはまだ多くいらっしゃることを知りました。 私は担ぎタイプのゴルフバックを使っているのですが、スタンドの稼動部が壊れてしまいました。 気に入って使っていたので、出来れば直したい。 細いスティールパイプとそれにつながる鉄のL字金具を溶接すれば修理が可能です。 

電話帳で調べたら、街には何軒か鍛冶屋さんがあることが分かりました。 一番近くの鍛冶屋さんと連絡を取って、持ち込んだら、翌日には直しておくとのこと。 しかし出かけるので、修理したら庭先に置いておくから持っていってだって。。。 誰かに取られたりしないかなと心配でしたが、行ってみたらありました。 けっこうアバウトで英国風な職人さんでありました。

フリーメイソン 直角定規&ピタゴラスの定理 ピアストワーク スティールワーク 飾り

裏面の様子


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