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No. 18289 ヴィクトリアン スターリングシルバー ケース SOLD
縦の長さ 8.1cm、横の長さ 4.6cm、厚み 1.25cm、重さ 47g、1896年 チェスター アセイオフィス、SOLD

こちらはSOLDとなりましたが、ご希望があれば、また同じような品を探してみます。 仕入れの参考にさせていただきたく、お探しのアンティークについてお聞かせください。 皆様からのメールをお待ちしております。 英吉利物屋 店主 E-mail アドレス: igirisumonya@gmail.com

今から百二十年ほど前に作られたスターリングシルバーのシガレットケースです。 両面に施された手彫りのエングレービングはレベルが高く、綺麗なヴィクトリアン アンティークと思います。 蓋の開け閉めはパチンと気持ちよく、緩みもないのは好印象です。 側面部などわずかなへこみもありますが、ヴィクトリアンシルバーとして十分に美しく、これはアンティークの味わいのうちでありましょう。 

もともとは男性用のシガレットケースですが、こんなに綺麗な品なら、薬入れや裁縫セット入れとして女性の持ち物にもしてみたいと思います。 

写真四番目で見て内側左サイドには四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、チェスター アセイオフィスのシティーマーク、そして1896年のデートレターになります。 また、内側右サイドにもスターリングシルバーを示すライオンパサントと、1896年のデートレターの刻印があります。 

彫刻のモチーフは渦巻きとウェーブパターンの融合デザインです。 波模様モチーフには、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフのデザインです。

「Spiral=渦巻き、螺旋」というのは、とても重要なケルティックモチーフで、渦巻きは太陽を象徴し、そこからGrowth(成長)、Expansion(拡大)、Energy(活力)の意味合いが導かれます。 イギリスにおけるケルティック リバイバルの潮流の中で渦巻き様のウェーブパターンが流行っていった経緯があります。

基本デザインの渦巻き様のウェーブパターンは、深めなタッチで彫られています。 その背景に色合いが濃く見える部分も微細な彫刻で影を付けた細工で、両面に施された手彫りのエングレービングが、この銀のアンティークをかなりの工芸品にしています。 

波模様の背景に影のように見える部分は、1ミリ間隔に何本もの彫刻線を引いて影を付けていった細工です。 マグニファイイング グラスで鑑賞いただくと当時の限界的な手仕事のレベルの高さに驚かれると思います。 

チェスターシルバーというのも希少価値があってポイントとなりましょう。 英国各地のアセイオフィスで検定を受けたスターリングシルバーのおそらく9割以上は、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのいずれかの品で、チェスターは数が少ないのです。 

チェスター アセイオフィスのシティーマークがくっきりと読み取れます。 チェスターのマークは「Three Wheat Sheaves(三つの麦束)」と呼ばれ、1686年から使われてきたものですが、1962年にチェスターアセイオフィスが閉鎖となったので、今はもうありません。

ウィート シーフ(麦束)とは、豊穣、生産力(Fecundity)、肥沃さ(Fertility)のシンボルで、英国ではラッキーモチーフとして好まれる縁起物です。 そもそも小麦はギリシャ神話に出てくる「農業、豊穣、結婚の女神デーメーテール」を象徴しています。 以前にミントン美術館で見た「ウィート シーフを抱えた少女の絵皿」にとても惹かれ、この少女の顔立ちはデーメーテールを意識したのかしらと、妙に気になったのを覚えていて、それ以来どうも私はこのウィート シーフというモチーフに惹かれるのです。

ミントンの絵皿とウィート シーフについて、「英国アンティーク情報」欄の「13. 英国陶器の街、ストーク オン トレント」の解説記事に写真がありますのでご参考まで。

ヴィクトリアン スターリングシルバー ケース








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