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No.18221 エドワーディアン スターリングシルバー ハンドル ボタンフック
長さ 17.2cm、重さ 28g、シルバーハンドルの最大幅 2.0cm、シルバーハンドルの最大厚み 1.3cm、1905年 バーミンガム アセイオフィス、九千五百円

今から百年以上前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバー ハンドル ボタンフックです。 接続部分はしっかり出来ていて、これからも長く実用に耐えるでしょう。

ハンドル部分はスターリングシルバーになり、1905年のデートレター、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてメーカーズマークの刻印があります。

写真一番目に見えるフック部分の表示は、フックの素材がスティールであることを示す「STEEL」と、英国製であることを示す「ENGLISH MAKE」の刻印です。 スティール部分の最大直径が6ミリ強あって、しっかりした作りとなっています。

ちなみに、ボタンフックの使い方は次のようです。 まずボタン穴の表側からフックの先端を差し込みます。 次にフックの先端でボタンの根元を絡め取ります。 最後にボタンを絡めたフックをゆっくりボタン穴から引き出すとボタンかけが完了します。

ボタンフックというのは、イギリスでは時々見かける小道具なのですが、こうした道具が使われる背景に思い当たることがあります。

歴史的にみても、日本ではあまり使われて来なかったと思います。 あったら便利な場合もあるので、これからの時代は介護用品として普及していく可能性もありましょう。 でも普通には、わざわざボタンフックを使うことはあまりなさそうです。

それでは、イギリスで使われてきた背景はどういうことでしょうか。 日本より寒冷な気候のイギリスですから、寒くて指先がかじかんだ時などは確かに便利です。 手袋をしたままでもボタンかけOKという利点もあります。

また、大きな歴史観から眺めてみると、ヴィクトリア時代はイギリス社会の青年期にあたっており、社会経済に活気があって、大いなる発明時代でありましたことから、ちょっとしたことでも専用道具を作り出す傾向はあったと考えられます。

ただ、より大きな要因としてもう一つ、イギリス人って日本人より総じて不器用な人が多いことが、ボタンフックの普及にも関係しているように思います。 私のことで申し上げると、特に印象深いのは歯医者さんでの経験です。 以前にこちらの歯医者さんで親知らずを抜いた時、術後しばらく痛み止めを飲んでも大変な苦労をしました。 親知らずがややこしいタイプで簡単でなかったことを割り引いても、こちらの歯医者さんの器用さ加減に疑問がありました。

日英の平均レベルで考えても、こちらの人は体も大きめで手も大きい、器用さのレベルは低そうだと疑っています。 また、メンタル面でも細かいことが気にならない気質が、こちらの人の良い面でもあり、悪い面でもあります。 歯医者さんのレベルは、もちろん個々人の資質の問題でありますが、根っこのところでいかんともしがたい違いが横たわっているように思うのです。 

数年が経って、また別の親知らずが問題になったとき、今度は迷わず日本に一時帰国しました。 急ぎスケジュールの関係で二つの口腔外科で一本ずつ抜きましたが、ややこしい歯であるにもかかわらず、腕のいい先生方で、抜歯後の痛みは以前の経験と比べるとないも同然、よい意味でビックリ、驚きました。 日本では若く優秀な歯科医師が育っているなあと、感心しきりです。

帰りの飛行機でドイツ人と隣席になりました。 私が英国に住んで長いと聞いて、彼は私に英国市民権を取って英国人にならないのか?と質問してきました。 イギリスは住むにはよいところで気に入っているけど、日本の医療システムは英国より上だし、個々の医師のレベルも日本の方が高いみたいで、日本人はやめられないよ、と抜歯後間もないだけに実感のこもった日本自慢になった次第でした。

不器用でボタンかけが不得手なイギリス人といったら笑い話で済みますが、不器用な歯医者さんの割合が多いかも知れないイギリス社会といったら、そこに住む人にとっては深刻な問題です。 まあ、そうは言っても大半のイギリス人はそんなふうには思っていないでしょう。 私はイギリス社会のよそ者なので、違いに敏感なところがありましょう。

エドワーディアン スターリングシルバー ハンドル ボタンフック






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