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No. 18182 六つのどんぐり グッドラック 六ペンス銀貨 ペンダントヘッド
銀貨の直径 1.9cm、厚さ 1mm、六ペンス銀貨は1935年鋳造、五千五百円

六ペンス銀貨にも様々なデザインがありますが、今から八十年ほど前に、この銀貨が作られた当時は Six Acorn (六つのどんぐり)のデザインでした。 イギリスでは昔からどんぐりがおなじみのモチーフだったことが背景にあります。 イギリスでは、どんぐり集めに忙しいリスの姿をよく見かけますので、おなじみのデザインなのかなとも思います。

エイコーン(Acorn=どんぐり)は、古くはローマ時代にまで遡れるモチーフの一つで、ケルティックやスカンジナビアン アートにおいても、Life(生命)、Fecundity(豊かさ、生産力)、Immortality(永久になくならないこと)を表象するモチーフとして好まれてきました。 繁栄をシンボライズするクリスチャンモチーフとして、今日にも引き継がれています。

英語には、『Every oak must be an Acorn.(樫の大樹も元々はみなどんぐり)』という諺があって、一粒の小さなどんぐりで、樫の大木をシンボライズしているケースもしばしば見受けます。

そしてまた、これがサマセット・モーム『月と六ペンス』に言われる六ペンス銀貨なわけですが、シリング銀貨と比べて見かける頻度がずっと少なく、レアものの範疇に入るといってよいでしょう。 

イギリスでは六ペンスにはラッキーアイテムの意味合いがあって好まれます。 マザーグースのナーサリーライムに、花嫁が身につけると幸せになれるといわれるサムシング・フォーに続いて、以下のように六ペンスが言及されていることが人気の背景にあります。

Something old, something new,
something borrowed, something blue,
and a sixpence in her shoe.

デイビット・スーシェ主演の名探偵ポワロシリーズの一つ、『The Theft of the Royal Ruby (=原作名:The Adventure of the Christmas Pudding)』に、六ペンスにまつわるクリスマスディナーの場面がありました。 

クリスマス プディングに指輪など小物をいくつか入れておいて、取り分けたときに何が入っているか、おみくじのようにして楽しむ趣向があるのです。 ディナーテーブルを囲む人たちから、六ペンスを引き当てた人に、ひときわ大きな歓声があがります。 六ペンスというのは、日本のおみくじで言ったら大吉に相当することが見て取れて、興味深く思いました。

このデイビット・スーシェのポワロシリーズは、1910年代から1930年代に時代設定されており、今から七十年から百年ほど前の様子が描かれております。 当時のイギリスの暮らしや社会の様子が分かるという意味で、アンティーク好きの方にはお薦めしたいと思います。 ディテールにこだわって見ていくと、ますますアンティークに親しみが湧きますし、いろいろと発見があって楽しめます。

それから、写真二番目に見えるのは英国王ジョージ五世のポートレートです。 ジョージ五世は1910年から1936年までの英国王で、その王妃がドールハウスでも有名なQueen Maryになります。 メアリー王妃はアンティークや刺繍が趣味の奥方でした。

六ペンスによい意味合いが付与されてきた背景には、イギリスにおける長い歴史的な事情があるわけですが、そうした歴史の中に「イングランド銀行を救った六ペンス」の話もありますので、ついでにご紹介しておきましょう。

『Manias, Panics and Crashes (Kindleberger著)』という本によれば、南海泡沫事件のさなかの1720年9月にイングランド銀行で取り付け騒ぎが起こり、大勢の預金者がお金を引き出そうと、イングランド銀行に殺到しました。 資金ショート寸前であったイングランド銀行が危うく倒産を逃れたのは、六ペンスのおかげであったというのです。

預金を下ろしに大勢の人たちが押しかけて長蛇の行列となった事態に対して、イングランド銀行が採った作戦は、さくらを行列の前の方に並ばせるということでありました。 そしてさくらの人たちに対して、預金を小銭の六ペンスでもって払い戻すということをしたのです。 

大金を六ペンスで払うものですから、一人の払い戻しにも長い時間がかかりました。 さらには、支払った大量の六ペンスは、裏口からイングランド銀行に還流させて、また使うということを繰り返したのです。

こうして、どうにかこうにか資金ショートを免れて、やりくりしているうちに、セント・ミカエルの祭日がやってきて、人々のパニック心理もようやく落ち着きを取り戻すようになりました。 祭日明けには取り付け騒ぎも収まって、イングランド銀行は正常な業務に戻ることが出来たそうです。

イギリスという国の大本をなすイングランド銀行でさえも、その昔には六ペンスによって救われたという歴史的な事実も、六ペンスのポジティブイメージに一役買っているということは、少なくとも言えそうです。

六つのどんぐり グッドラック 六ペンス銀貨 ペンダントヘッド

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