英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No.18104 アール・デコ スターリングシルバー スプーン with ロンドン レオパード ヘッド
長さ 12.6cm、重さ 23g、ボール部分最大幅 3.85cm、ボール部分の長さ 4.8cm、柄幅 4mm、ロンドン レオパード ヘッドの縦長 5.5mm、1935年 ロンドン アセイオフィス、一万四千円

直線的なアール・デコ デザインのスターリングシルバー スプーンです。 ボール部分の内側には大きなロンドン レオパードヘッドが刻印されています。 通常のシルバーホールマークよりも、かなり大きめなレオパードヘッド刻印であって、ホールマークのデザイン自体を見て楽しむ趣向の銀製品ともいえましょう。

写真三番目に見えるように、柄の裏面にはスターリングシルバーを示すライオンパサント、1935年のデートレター、メーカーズマークが刻印されており、ボール内側のレオパードヘッドとあわせて、都合四つのブリティッシュ シルバー ホールマークが完備しております。

ボール部分の最大幅4センチ弱あって、かなり大きな印象です。 もちろんティースプーンとしては大き過ぎますし、ジャムスプーンとして使われるのが主要な用途と思われますが、アイスクリームやヨーグルト用のスプーンとして使うのもよろしいでしょう。

アール・デコの直線系デザインということもあって、モダンな印象もありますが、ブリティッシュ ホールマークを判読すると、今から八十年ほど前の1935年に作られたシルバーウェアであることが分かります。 まさにアール・デコ時代の真っ只中の作となっています。

ホールマークの中のデートレターを判読することによって、製作年を特定できることは、英国アンティークシルバーのすぐれた特徴です。

1920年代、30年代はアール・デコの時代ですが、ヴィクトリアンあるいはエドワーディアンの伝統的で凝ったシルバーデザインとは大きく異なる変更が、この時代にあったことは、とても興味深いと思います。 ある解説によれば、このデザイン上の大きな断絶を生み出した最大の要因は第一次大戦だったと言われています。 当時の人たちはヴィクトリアンとエドワーディアンの輝かしい伝統の延長上に世界大戦が起こったことに大きなショックを覚え、ポストワーの時代には、昔の時代から距離を置きたいと望む風潮が強く、そこにアール・デコがぴたりとはまったというわけです。 

アール・デコについてはいろいろな説明がありますが、この解説はかなり言いえているように思います。 イギリスを隅々まで旅してみて、どんな小さな田舎の村にも、第一次大戦の戦没者を悼む記念碑が建っているのを知りました。 英国人の暮らしを根底から揺るがした出来事であったことが想像されるのです。

1920年代から30年代のアンティークを手にして、その時代背景を感じてみたい方には、アガサ・クリスティの『名探偵ポワロ』シリーズをお薦めしたいと思います。 推理小説をじっくり読むのもいいですし、デヴィッド・スーシェ主演のテレビ版 『名探偵ポワロ』シリーズが完結しましたので、DVDで映像から入るのも楽しいでしょう。 

写真のアンティークは今から八十年ほど前の1935年に作られておりますが、テレビ版の『The Murder of Roger Ackroyd』ではアール・デコ様式のお屋敷が舞台に使われていて、写真の銀スプーンと時代背景がよく符合しておりますので、まずはお薦めしてみたいと思います。

ポワロの長編は三十作ほどありますが、ポワロ登場の『スタイルズ荘の怪事件』が第一次大戦中のことで、代表作の時代背景は1910年代後半から1930年代となっていることがポイントです。 クリスティの描いた当時のイギリスを知っていくと、この時代のアンティークがいっそう身近に感じられてきます。

数多いポワロもので、お薦めはといえば、いろいろ意見の分かれるところでしょう。 1910年代後半から30年代のイギリスを知っていく手掛かりになる、クリスティの代表作という観点から選んでみました。

『スタイルズ荘の怪事件(1920年)』
『アクロイド殺し(1926年)』=『The Murder of Roger Ackroyd』
『エッジウェア卿の死(1933年)』
『オリエント急行殺人事件(1934年)』
『ABC殺人事件(1936年)』

ギネスブックによれば、クリスティは史上最高のベストセラー作家とのこと。 そんな彼女の作品を通して昔のイギリスを知り、アンティークを探求していくことは、英国アンティークの楽しみ方の一つと思うのです。

アール・デコ スターリングシルバー ジャムスプーン or アイスクリーム スプーン with ロンドン レオパード ヘッド





イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ