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No.17264 ロシア正教 シルバー クロス ペンダントヘッド with 帝政ロシア サンクトペテルブルグ アセイオフィス シルバーホールマーク SOLD
本体部の縦 2.7cm、横 2.0cm、留め具を含む縦長 3.8cm、厚み 1mm、19世紀終り頃の帝政ロシア製、サンクトペテルブルグ アセイオフィス、SOLD

ロンドンで見つけた珍しいアンティーク シルバーをご紹介しましょう。 ロシア革命前の帝政ロシアからやってきた銀のクロスで、裏面には帝政ロシアのシルバーを示すホールマークが刻印されています。

ちょっと見た感じも、イギリス地場のクロスと違った趣が漂っておりますが、それはロシア正教のクロス様ョであるからです。 まず、横に並んだ「IC XC」は「Jesus Christ」イエス・キリストをあらわしています。 また上部に見えるシンボルは、キリストの光を表象しています。

ロシア革命や、その後の動乱期には、多くのロシア人がイギリスに渡ってきました。 そういった歴史の背景があって、今ではイギリスにあるロシアの銀ということでありましょう。

ハ真二番目に見られるように、裏面にはサンクトペテルブルグのアセイオフィスマーク、そして銀純度を表す「84」マークがあります。 この「84」マークは帝政ロシアにおける記法で、87.5%銀純度を表しております。

ロシア製シルバーのホールマーク解説書を調べていったところ、ハ真の銀クロスが作られたのは19世紀の帝政ロシア梠繧ニ分かりました。 ハ真O番目にあるのは、サンクトペテルブルグ アセイオフィスのシルバー ホールマークの説明です。 

ちなみに、帝政ロシアの首都であったサンクトペテルブルグは、ロシア革命後のソビエト連邦梠繧ノ、ペトログラード、さらにはレニングラードと街の名称が変わりましたが、ソ連が崩壊した後に、また帝政ロシア梠繧フサンクトペテルブルグに名前が復帰しています。 この解説書では「Petrograd marks」とありますが、これはサンクトぺテルブルグをさしています。

Oつの棒がクロスしているマークは、王権の象徴として王様が持q熹(しゃく)が一本と、二つのアンカーを表しており、これがサンクトペテルブルグのシティーアームです。

ハ真l番目をご覧いただくと、「Marks of fineness in the 19th century」とあって、19世紀の銀純度刻印が例示されていますが、これが写真の銀クロスの刻印と同じです。

以上から分かることは、ハ真の銀クロスは19世紀のロシア サンクトペテルブルグで作られた品ということです。 英国とロシアの関係を考えてみると、ロシア革命の頃に多くの亡命ロシア人がイギリスに渡ってきました。 かなり大きな人の移動だったようです。 そういえば、名探偵ポワロシリーズにも、”元ロシア貴族婦人” とポワロの恋のエピソードがありました。 19世紀といっても長いですが、やはり英露の交流が増えたロシア革命前後にイギリスにもたらされた銀クロスであって、作られたのは、おそらく19世紀終り頃ではないかと見ております。

サンクトペテルブルグは帝政ロシア梠繧フ都で、ハ真の銀製品が作られた19世紀終りから20世紀の初頭にかけては、ロシアの政治や文化の中心でありました。 

エルミタージュ美術館があるのもこの街です。  『坂の上の雲』のロケで、この街を訪れた八代六郎役の片岡鶴太郎さんが、エルミタージュ美術館の前で撮影をして、翌日のオフには美術館巡りを楽しみにしていたら、休館だったと話されていました。 ロシア駐在武官であった八代六郎や広瀬武夫らが暮らしていた頃の銀製品というわけです。 

日露戦争でロシアが勝っていたら、ロシア革命がずれ込んで、帝政ロシアはあと十年はもっていたろうと言われます。 『ウィッテ伯回想録』によれば、当栫A冒険主義的な対日戦争を進めるロシア為政者の発言として、「いま国民に潜在している革命気分を抑圧するには、どうしても、ちょっとでもいいから戦争に勝って、為政者の威信を示す必要があるのだ。」と記録されています。 

日本相閧ネら、簡単に戦争に勝って、ロシアの威信を示せるという計Zがあったわけですが、この見込み違いで、帝政ロシアはかえって滅亡を早めてしまいました。 ロシアの威信どころか、厭戦気分が高まって、サンクトペテルブルグにおける血の日曜日事件につながっていきます。

ハ真のシルバーアンティークが、イギリスで見つかった背景を考えると、革命の混乱の中で、多くのロシア亡命貴族がイギリスに渡ったこととも関係がありましょう。 
以下の記魔烽イ参考まで。
http://www.igirisumonya.com/wartski.htm

しかし一方で、日露戦争当栫A欧州におけるバランス オブ パワーの観点から、ロシアと戦う日本を、日英同盟を結んで積極的に支援したのもイギリスでありました。

ハ真のアンティークを見ていると、ロシアと日本の抗争、イギリスから日本への支援、ロシアからイギリスへの人の流れ、こうした様々な力が働いて、桙経て、現在に到っているアンティークであることに、興味を覚えます。

『рヘキリスト教の信仰者ではありませんが、何故かクロスにとても惹かれます。』というお便りをいただきました。

英吉利物屋ではアンティークのクロスを扱っておりますので、関心のある方から、そういうお話があるのは珍しいことではないかも知れません。 けれども、クロスに惹かれるという話はこれが初めてというわけでなく、多くの方からお聞きしてきましたし、р烽サう感じることがあるので、なぜだろうかと考えたくなるのです。

英国アンティーク情報欄にあります「40. 何故かクロスにとても惹かれます。 その理由を英吉利物屋風に考えてみました。」をご覧いただければ幸いです。

ロシア正教 シルバー クロス ペンダントヘッド with 帝政ロシア サンクトペテルブルグ アセイオフィス シルバーホールマーク









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