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No. 17057 Queen Anne パターン Goldsmiths
& Silversmiths Company ヴィクトリアン スターリングシルバー バターナイフ
SOLD
長さ 13.1cm、重さ 22g、ブレードの最大幅 2.1cm、柄の最大幅
1.55cm、柄の最大厚み 3mm強、1889年 シェフィールド、Goldsmiths
& Silversmiths Company作、一万七千八百円
SOLD
銀のバターナイフというのは、他のシルバーウェアと違って、一本あったら朝食の時間が変わるという意味で、おもしろいアンティークと思います。 デザートスプーンやティースプーンですと、ある程度まとまった本数が必要になりやすいものですが、バターナイフは一本あれば、まずは完結します。 それでいて、トーストにバターをという毎朝の儀式がすっかり楽しくなるものです。
英吉利物屋でアンティーク バターナイフを扱っておりますので、これまでに多くのバターナイフを手にしてきました。 写真のバターナイフを初めて見たとき、これまで扱ってきた銀のバターナイフの中でも、しっかり作られたヴィクトリアン アンティークだなという印象を持ちました。
長さは13.1cmですから、それほど長いことはありません、ところが柄は3ミリ強の厚みがあって、重たくてがっちり出来たヴィクトリアーナとなっております。
同程度の長さのバターナイフと比べて、銀の使用量は三割ほど多くなっており、より一段と重厚な雰囲気に仕上がっていると思います。 銀をたっぷり使ったバターナイフであることは、Very
Britishなシルバーウェアとして特筆すべきポイントです。 重厚なシルバー バターナイフをお探しの方にお薦めしたいと思います。
このバターナイフが作られたのは今から百三十年近く前のことで、ヴィクトリア時代の後期になり、柄先のデザインからQueen
Anne パターンと呼ばれます。 このデザインは1880年代にイギリスで初めて登場し1900年頃にはかなりの人気となりました。 あるいは別名ではオーバニー(Albany)パターンと呼ばれることもあります。 ヴィクトリア期の有力シルバースミスであるフランシス・ヒギンスのパターンブックで、
Queen Anneパターンとされて以来、Albany あるいは
Queen Anneと両方の名前が使われるようになりました。
ちなみにQueen Anne パターンのピクルフォークは次のような品です。
No.16873 ヴィクトリアン スターリングシルバー Queen
Anne パターン ピクルフォーク
http://www.igirisumonya.com/16873.htm
ブレードの裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、シェフィールドの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1889年のデートレター、そしてヴィクトリア女王の横顔マークになります。
有名メーカーである「Goldsmiths & Silversmiths
Company」の作であることも気に入りました。 メーカーズマークは楯状刻印の中に「WG」と「JL」が並んでいますが、これは「Goldsmiths
& Silversmiths Company」の二人の創業者である「William
Gibson」と「John Langman」のイニシャルです。
ヴィクトリアン後期にあたる1880年当時、「Goldsmiths
& Silversmiths Company」はリージェント・ストリート
112番地に店を構えておりました。
リージェント ストリートは、東京の銀座通りのようなもので、ヴィクトリア時代にあってもロンドンで最もポッシュな界隈であったわけで、そこに店を構えていたこと自体が、「Goldsmiths
& Silversmiths Company」の規模の大きさを示していると言えます。 エドワーディアンの時代には、クライアントはふかふか絨毯とダーク
マホガニーの階段を上って、その先の素晴らしく豪華な専用ティールームに案内されたということで、当時のゴージャスな雰囲気を伝えるエピソードです。
ちなみに現在のリージェント ストリート112番地は、地下鉄のオックスフォード
サーカス駅から、ピカデリー サーカス駅に向かって、リージェント
ストリートを下って歩いていくと、左手にLibertyがあって、もう少し先におもちゃ屋さんのHamleysがありますが、さらに歩いていって、ピカデリーの手前で通りが大きく左に曲がっていくあたりになります。
ロンドンに行かれた方なら、まず間違いなく観光で歩いている界隈と思います。 今でも立派な建物が左右に立ち並ぶ界隈ですが、リージェント
ストリートの外観は写真の銀ナイフが作られた当時とほとんど変わっていません。 アンティークを手にしながら、そんなこんなに思いをいたしてみるのは楽しいものです。
「Goldsmiths & Silversmiths Company」は1880年創業のシルバースミスですが、銀製品の他にゴールドやジュエリーの分野でも名を馳せていて、チャールズ・ウォーラル氏のように40年以上にわたって人気を博したデザイナーも抱えていました。 また、この会社のビジネスはそれだけに止まらず、ウォッチやクロックのメーカーでもありましたし、さらには貴金属やダイヤモンドのトレーディングも手がけていました。 「Goldsmiths
& Silversmiths Company」という名前から、ちょっと普通の銀工房ではないような、大きなビジネスの規模を感じるのですが、それはまさにその通りであったわけです。
この品が作られたヴィクトリア時代の背景については、「英国アンティーク情報」欄の「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」や「14.Still Victorian」の解説記事もご参考ください。
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