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No. 17030 ヴィクトリアン スターリングシルバー  アイビー モチーフ ブローチ with ブリティッシュ シルバー ホールマーク
横の長さ 3.4cm、縦の長さ 2.8cm、最大厚み(除くピン) 1.2mm、1888年 バーミンガム、一万四千円

今から百三十年ほど前のヴィクトリアン後期に作られた、アイビーモチーフのスターリングシルバー ブローチです。 

この分野のアンティークは現代の品には見られない雰囲気と、一つ一つが個性的で同じものをまず見かけないのが特徴で、ホールマークから製作年やメーカーの特定が可能なことも多いので、私は興味深いアンティーク分野と思っています。

このブローチの場合は、四つのブリティッシュ ホールマークが完備しているのもアンティークとしてのポイントになるでしょう。 裏面の刻印は左から順に、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、1888年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントです。

アイビーの葉と縁飾りの部分は基盤から一段高い構造になっています。 クルッとしたアイビーのつるもいい感じです。 アイビーのつるの彫刻は強めのタッチが効いていて、ファセット面が様々な方向に向くブライトカット様な彫りなので、光の反射が綺麗です。

写真では解像力不足でよくご覧いただけないのですが、縁飾りの波模様は、一本のラインではなくて、細かなドットを繋いでいった彫りになっています。 また、シルバーフレームの周りに配された銀の粒々はグラニュレーションと呼ばれ、ヴィクトリア期に好まれた銀装飾の手法になります。 全体として丁寧なヴィクトリアンの手仕事と思います。

19世紀後半からしばらく、ヴィクトリアンやエドワーディアンのイギリスでは、当時の自然主義的傾向にアイビーがよくマッチした為、バルコニーやガーデンファーニチャーに絡まるアイビーが大変好まれました。 アイビーは蔦がしっかりと絡まることから、Fidelity(忠実ないしは誠実)、Friendship(友情)、あるいはMarriage(結婚)を象徴するモチーフとされます。 そしていつも緑であることから、Immortality(不滅)や Eternal Life(永遠の魂)を表すクリスチャンモチーフともなっています。

ヴィクトリア時代のイギリスでは、植物を好む自然主義的傾向が顕著でした。 アイビー人気はもとより、それ以外にも、稠密かつ精巧なナチュラルデザインとしてファーン(シダ)が好まれたり、あるいはコンサバトリーでの観葉植物や薬草の栽培もガーデニングの延長として流行ったのです。

もともとは王宮庭園であったキューガーデンが、王立植物園として生まれ変わったのはヴィクトリア時代の初め頃でありました。 植物研究施設としてのキューガーデンが、ヴィクトリアンの人たちの植物好みを引っ張ったと言うこともあるでしょう。

写真のシルバーアンティークに施されたアイビーモチーフには、ヴィクトリアンの人たちの植物好き、アイビー好みが色濃くは反映されているわけです。

ヴィクトリアン スターリングシルバー  アイビー モチーフ ブローチ with ブリティッシュ シルバー ホールマーク




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