英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No.17018 スターリングシルバー チャーム ブレスレット
ブレスレット一周の長さ 18.5cm、重さ 38g、18 KEYの長さ 3.4cm、六ペンスの直径 1.9cm、二万一千八百円

ゴルフバックと爪のチャームの中ほどに留め具があって、取り外しが出来る仕組みです。 シルバーチェーンはしっかり出来ていて、銀の質感が好ましく感じられます。

それではチャームを順に見てみましょう。
1. 爪
2. エレファント:大きめなチャームで中まで銀が稠密な構造です。 重たいと銀塊といった風情です。
エレファントと言えば、それはインド風であって、イギリス風ではないのでは?と思われるかも知れません。 ところが、長い間インドを植民地にしていたイギリス人にとっては、インドのものはイギリスのものといったメンタリティーがあるようで、面白く思っております。 

例えば、近所にある古くからのパブに「Elephant and Castle(象と城)」という名前がついていて、地元の人たちは百年以上前から慣れ親しんでいます。 また、数年前にはチャールズ皇太子が、典型的なイギリス料理は?という質問に、カレーと答えて話題になったことがありました。 日本人の私たちから見れば、カレーはどう考えたって、インド料理であって、イギリス料理とは思えないのですが。

3. 透かし細工の 18 KEY
4. こうもり

5. 1965年鋳造 六ペンス: 詳しい説明はこのページの下方にあります。

6. 森の妖精 ピクシー
7. ブル(=牡牛):これもまたパブの名前にありそうな題材のチャームになっています。 『アンティークセンター (イースト アングリア地方散策)』にありますパブ情報も、ご参考まで。

8. ゴルフバッグ:担ぎタイプのゴルフバッグでウッドやアイアン、そしてパターと、五本ほどのクラブが入っています。 イギリスのゴルフ場での経験を申し上げますと、こんな担ぎタイプのゴルフバッグにハーフセット以下のクラブをさして、ふらっとゴルフ場にやってくるゴルファーは上手い人が多いように思います。

六ペンスについては以下の通りです。

表側はエリザベス二世の横顔で、裏面は写真に見えるように四つの花のデザインです。 四つの花とはスコットランドのあざみ、北アイルランドのシャムロック、ウェールズのリーク、そしてイングランドのバラになります。 このデザインは1954年から67年まで続いております。 

この六ペンスは銀貨ではありません。 イギリスにおける六ペンスは1947年に銀貨から銅ニッケル合金に変わりました。 しかしながら、昔からイギリスにおいては六ペンスが縁起物として好まれることが背景にあって、チャームやペンダントヘッドとされることが多いのです。

マザーグースのナーサリーライムに、花嫁が身につけると幸せになれるといわれるサムシング・フォーに続いて、以下のように一節があり、六ペンスが好まれる背景になっています。

Something old, something new,
something borrowed, something blue,
and a sixpence in her shoe.

デイビット・スーシェ主演の名探偵ポワロシリーズの一つ、『The Theft of the Royal Ruby (=原作名:The Adventure of the Christmas Pudding)』に、六ペンスにまつわるクリスマスディナーの場面がありました。 

クリスマス プディングに指輪など小物をいくつか入れておいて、取り分けたときに何が入っているか、おみくじのようにして楽しむ趣向があるのです。 ディナーテーブルを囲む人たちから、六ペンスを引き当てた人に、ひときわ大きな歓声があがります。 六ペンスというのは、日本のおみくじで言ったら大吉に相当することが見て取れて、興味深く思いました。

六ペンスによい意味合いが付与されてきた背景には、イギリスにおける長い歴史的な事情があるわけですが、そうした歴史の中に「イングランド銀行を救った六ペンス」の話もありますので、ついでにご紹介しておきましょう。

『Manias, Panics and Crashes (Kindleberger著)』という本によれば、南海泡沫事件のさなかの1720年9月にイングランド銀行で取り付け騒ぎが起こり、大勢の預金者がお金を引き出そうと、イングランド銀行に殺到しました。 資金ショート寸前であったイングランド銀行が危うく倒産を逃れたのは、六ペンスのおかげであったというのです。

預金を下ろしに大勢の人たちが押しかけて長蛇の行列となった事態に対して、イングランド銀行が採った作戦は、さくらを行列の前の方に並ばせるということでありました。 そしてさくらの人たちに対して、預金を小銭の六ペンスでもって払い戻すということをしたのです。 

大金を六ペンスで払うものですから、一人の払い戻しにも長い時間がかかりました。 さらには、支払った大量の六ペンスは、裏口からイングランド銀行に還流させて、また使うということを繰り返したのです。

こうして、どうにかこうにか資金ショートを免れて、やりくりしているうちに、セント・ミカエルの祭日がやってきて、人々のパニック心理もようやく落ち着きを取り戻すようになりました。 祭日明けには取り付け騒ぎも収まって、イングランド銀行は正常な業務に戻ることが出来たそうです。

イギリスという国の大本をなすイングランド銀行でさえも、その昔には六ペンスによって救われたという歴史的な事実も、六ペンスのポジティブイメージに一役買っているということは、少なくとも言えそうです。

ついでに、『思うことなど』で、「六文銭と六ペンス」について考えています、ご覧いただければ幸いです。

スターリングシルバー チャーム ブレスレット

裏面の様子
スターリングシルバー チャーム ブレスレット



イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ