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No. 16669 リバーシブル スターリングシルバー ブライトカット ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク SOLD
縦(留め具含まず) 2.65cm、横 1.5cm、厚さ 3mm、重さ 5g、上から三つ目のライオンパサントの横幅 3.5mm、1981年 バーミンガム、SOLD

表側には通常の銀製品よりも大きめホールマークがしっかりと刻印され、ブリティッシュ スターリングシルバー ホールマークの見本のような趣があります。 ホールマークは上から順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1981年のデートレターになります。

左右両サイドはブライトカット様の深めな彫りになっているので、ファセット(彫刻切面)における光の反射が綺麗です。 そして、ブリティッシュ ホールマークを囲むように、繊細なブライトカット装飾が施されています。 さらには背景部分は、銀の表面にとても細かな凹凸を付けて銀の光沢を意図的に絞ったマット仕上げになって、光の反射具合に落ち着きがありシックな味わいとなっています。

次に写真二番目で裏面の様子をご覧ください。 下半分にはハートの基本デザインがあって、さらに上半分はフラワーデザインあるいは、紋章のパーツに使われる羽飾りでありましょうか。 なんだか可愛らしい手彫りのエングレービングで、表裏でまったく雰囲気の異なるシルバーであるところは、興味深く思います。 基本デザインを構成する深めなハンドエングレービング、エッジ部分に見られるブライトカット、そして背景部分の極細なマット仕上げと、三種のエングレービングで構成されております。 

ブリティッシュ ホールマークそのものを楽しむ趣向の表側、ハートに羽飾りで可愛い感じの裏側、リバーシブルで両面使いが楽しめるのは、この銀製品の優れた特徴です。

ちなみに、スターリングシルバーを示すライオンパサントは横幅 3.5ミリの大きさがあって、ブリティッシュホールマークしては、大きめサイズになっています。 

また、ホロー(中空)構造のスターリングシルバー ペンダントヘッドで、留め具がふれると鈴のような効果があってコロコロンと軽妙な音がするのも気に入っています。

写真の銀製ペンダントヘッドは、ブライトカット装飾が各所に効いていて、光の反射が美しいこともポイントになります。 もともとはジョージアンのティースプーン等で見られた装飾技法でありますが、少し敷衍して解説いたしましょう。 

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

ブリティッシュ ホールマークは銀の純度を保証し、製作年等を記録するという実用目的で、中世の時代に始まった制度ですが、ライオンパサントやバーミンガムのアンカーなど装飾性が高いこともあって、いつの頃からか、ホールマークのデザインそのものを楽しむ趣向のアクセサリーも作られるようになりました。 

上から三つ目にあるライオンの刻印は、英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになりますが、このライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。 この歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から460年ほど前の1544年のことになります。 これは当時テューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。 

歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。 日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。 銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。 そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけです。 

イギリスのホールマーク制度については、英国アンティーク情報欄にあります「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」の解説記事もご参考ください。

ホールマークの中でデザインが分かりやすくて、注目を集めやすいのは、やはりライオンとアンカーになりましょう。 上から二つ目に見えるアンカーは、バーミンガム アセイオフィス マークになります。 この品が刻印のデザインそのものを楽しむ趣向を持っているという意味では、アンカーモチーフについて追記しておいてもよいでしょう。

モチーフとしてのアンカーにはかなり古い歴史があります。 世界史で習ったローマ時代のカタコンベには、クロスに見立てたアンカーがありました。 当時はキリスト教が国教となる以前のことで、アンカーをクロスの代用とすることで信仰を守る必要があった時代でした。

そうした背景があって、アンカーは初期のクリスチャンモチーフとなりました。 そしてアンカーのクロス的側面を重視する場合には、アンカーのことを「聖クレメントのクロス」とか、「マリナーズ(船乗りの)クロス」と呼びます。 さらに時代が下って、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃になると、イギリスではシーサイドリゾートが人気となり、マリンモチーフのファッション性が好まれました。 

クリスチャンモチーフとしてのアンカーには、クロスの代用という意味合いの他にも、「Hope(希望)」や「Steadfastness(しっかりしていること)」を表象する意味合いも含まれています。 あるいはまた、船が抜錨して次の目的地に向かうという連想から、「Fresh Start(新たな出発)」をシンボライズするモチーフともなっています。

リバーシブル スターリングシルバー ブライトカット ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク

裏面の様子
リバーシブル スターリングシルバー ブライトカット ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク

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