英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 16662 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン with ブライトカット 
長さ 12.2cm、重さ 10g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.5cm、ボールの深さ 5.5mm、柄の最大幅 1.3cm、1810年頃の英国製、一万円

ジョージ三世の時代に作られたオールドイングリッシュ パターン スターリングシルバー ブライトカット ティースプーンです。 ジョージアンの時代の中でも、ジョージ三世の治世(1760年から1820年まで)が最も長かったこともあり、この時代のアンティークには「ジョージ三世」の名を冠することが英国ではよくあります。 

ブライトカットの綺麗なアンティークシルバーですが、柄の周囲に施された鉤彫りも繊細な手仕事で、二百年前のシルバーウェアとは言え、昔の銀職人さんが作ったんだなあというか、人の作った温かみが今に伝わってまいります。

ブライトカットは十分に美しく、二世紀前のティースプーンには現代人を惹きつける何かがあるように思います。 古いシルバースプーンをお求めいただいたお客様からのコメントをご紹介させていただきましょう。 『例のティースプーンは勉強の合間に入れるお茶に毎日欠かさず使っています。 不思議なもので、使っていると、以前より輝きが出てきたように思います。 また、親しみというか、スプーンに不思議な親近感までわいてきて、ちょっと危ないのかと思ってしまうほどです....(^^;』 銀というのは、かなり古いアンティークであっても、使っているうちに、また銀本来の輝きを取り戻してくるところが嬉しいものです。

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

写真三番目に見えるホールマークは順に、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ジョージ三世の横顔でデューティーマーク、そしてメーカーズマークになります。 デートレターが見えませんが、刻印があまいとか薄くなったと言うよりも、もともとデートレターが刻印されていなかったのではないかと見ています。

刻印の打ち間違いや、打ち漏れのあるレアものアンティークという範疇に入るかも知れません。 こういった事例については以下もご参考まで。

スターリングシルバー ケルティック クロス with ブリティッシュ ホールマーク、marks were stamped twice by mistake

27.ホールマーク漏れと英国人気質

デートレターはありませんが、ジョージ三世の横顔マークがあることから二百年ほどの作と分かり、さらにはブライトカットに囲まれたイニシャル部分に 「1810」とありますので、この銀スプーンの製作年も1810年頃と推定できます。

それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。

オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事を、またジョージ三世については「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」後半部分をご覧ください。

ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン with ブライトカット 

ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン 
繊細なハンドエングレービングの様子は、こちらの写真が見やすいでしょう。



イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ