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No.16554 ヴィクトリアン 靴べら with スティールブレード & スターリングシルバー ハンドル
長さ 17.5cm、重さ 38g、ブレード最大幅 3.1cm、ハンドル最大幅 1.1cm、ハンドル最大厚み 1.1cm、ヴィクトリアン終り頃の英国製、一万円

ヴィクトリアン終り頃に作られたアンティークな靴べらです。 ブレード部分の柄に近いあたりには「STEEL」の刻印があります。 ブレード部分がゆるやかに湾曲しているのは、現代の靴べらと同様な構造です。 ホールマークはありませんが、ハンドルの素材はスターリングシルバーで間違いないでしょう。

ブレード部分の色合いに赤みが見えるのは、空の夕焼けが映っているもので、実際には赤みはさしていません。 ブレード部分に黒錆が出ていますが、このブレードのお手入れ状況は良好で、表面を指先で触れてみても滑らかスムーズで、今日でも実用に十分なワーキングコンディションを備えています。 

手にしてじっくり眺めていると、大切にお手入れされながら、今日に至っているアンティークであることが、よく伝わってくるヴィクトリアーナと感じます。

ハンドルのデザインはウェーブパターンと、植物の葉っぱ、アイビーではないかと思いますが、あわせて植物文様と波模様の融合デザインで、手になじむとともに、滑り止めとしての実用性も兼ね備えています。

写真のようなアンティークは、ブラックスミス(鍛冶屋さん)とシルバースミスの共同作業から生まれたアンティークの典型と言えましょう。

金属細工人の中でも鍛冶屋さんをスミスあるいはブラックスミスと言いますが、主要な交通手段が馬や馬車であったヴィクトリア時代においては、ブラックスミスはとても重要な職業で、どこの村にも鍛冶屋さんがありました。 カンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは鍛冶屋さんでもあったという話がありますが、これなどは昔の時代にあっては鍛冶屋さんの役割が重要であった証左とも言えましょう。

各方面に技術が進歩した現代ではちょっと想像がつき難い所でありますが、昔の時代にあっては鍛冶屋さんは長いあいだ社会の先端技術者であり続けました。 もっと遠い昔、ヒッタイトの時代には鍛冶屋の技術を修めれば征服者にもなれたことに思いをいたしてみるのもよいでしょう。

知り合いに先祖が鍛冶屋さんだった方があって、その方は電気関係のエンジニアですが、科学全般に造詣が深く鍛冶屋の仕事についても、いろいろ教えてもらいました。 赤錆、三酸化鉄、黒錆、五酸化鉄、鉄の焼入れ等々、錆も含めた鉄のコントロールについていろいろ習いました。 ごく簡単に言えば、赤錆は悪い錆びですが、黒錆=四酸化三鉄=トリアイアン・テトラオキサイド(triiron tetraoxide)は鉄を守るよい錆びです。 経験的に知っていたのかも知れませんが、こういう化学知識も備えもって鉄をコントロールしてきたのが、昔の鍛冶屋さんであったのです。

ヴィクトリアン 靴べら with スティールブレード & スターリングシルバー ハンドル

裏面の様子

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