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No.16486 チェスター アセイオフィス スターリングシルバー ティーキャディー スプーン or アイスクリーム スプーン SOLD
長さ 12.7cm、重さ 20g、最大横幅 3.1cm、1929年 チェスター アセイオフィス、一万二千円 SOLD

ティーキャディースプーンとして作られた品と思いますが、このフォルムですと、チーズスクープやアイスクリーム スプーンとして使ってみるのもいいかなと思います。

同程度の長さのジャムスプーンなどと比べますと、20グラムという持ちはかりは、かなり重たい銀スプーンになろうかと思います。 やはりスクープ型のボール部分を構成する為には、銀の使用量が増えるものと思います。

デートレターを読み取ってみますと、今から八十年以上前の1929年に作られた銀製品と分かります。 あと十数年で区切りの一世紀に到達する品ですので、かなり古い銀スプーンであることがお分かりいただけると思います。

写真二番目で見えるように、裏面のホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、チェスター アセイオフィスのシティーマーク、そして1929年のデートレターです。

チェスターシルバーというのも希少価値があってポイントとなりましょう。 英国各地のアセイオフィスで検定を受けたスターリングシルバーのおそらく9割以上は、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのいずれかの品で、チェスターは数が少ないのです。 

チェスター アセイオフィスのシティーマークがくっきりと読み取れます。 チェスターのマークは「Three Wheat Sheaves(三つの麦束)」と呼ばれ、1686年から使われてきたものですが、1962年にチェスターアセイオフィスが閉鎖となったので、今はもうありません。

ウィート シーフ(麦束)とは、豊穣、生産力(Fecundity)、肥沃さ(Fertility)のシンボルで、英国ではラッキーモチーフとして好まれる縁起物です。 そもそも小麦はギリシャ神話に出てくる「農業、豊穣、結婚の女神デーメーテール」を象徴しています。 以前にミントン美術館で見た「ウィート シーフを抱えた少女の絵皿」にとても惹かれ、この少女の顔立ちはデーメーテールを意識したのかしらと、妙に気になったのを覚えていて、それ以来どうも私はこのウィート シーフというモチーフに惹かれるのです。

ミントンの絵皿とウィート シーフについて、「英国アンティーク情報」欄の「13. 英国陶器の街、ストーク オン トレント」の解説記事に写真がありますのでご参考まで。

それから、写真の品が作られ使われた当時のイギリスはどんなであったのか。 先日、お客様との遣り取りの中で、調べてみる機会がありました。

1929年に始まった世界恐慌といいますと、私たちは世界史をアメリカ中心に学んできましたので、米国株暴落から世界中一緒に奈落の底に落ちて行ったかのように思ってしまいがちです。 

実際のところは、1929年10月の米国株暴落から直ちに世界恐慌につながったわけではなくて、1931年頃まで、イギリスへの影響は比較的軽微でありました。 1931年5月から欧州の銀行倒産が始まって、31年9月イギリスは金本位制から離脱しました。 ところが金本位制離脱後には低金利政策が可能になって、1932年から37年までのイギリスは住宅建設ブームになっています。

当時、イギリスの金本位制からの離脱は大きな出来事でしたし、1930年代は総じて不況と言ってよいのですが、一方で住宅建設は好調でした。 光と影が同時に存在した1930年代のイギリスであったのです。

チェスター アセイオフィス スターリングシルバー ティーキャディー スプーン or アイスクリーム スプーン


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