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No. 16399 ヴィクトリアン 折りたたみ式 鉄製 コークスクリュー (ワイン栓抜き)
伸ばした長さ 9.8cm、閉じた長さ 5.7cm、横幅 4.6cm、重さ 32g、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製、一万円

デザインがよくて、それでいて渋いアンティークで気に入りました。 写真の品は鉄製のコルク栓抜きになりますが、かなり古いにもかかわらず、モダンな雰囲気もあって、面白いと思います。 

栓抜きというと、先が尖って危ないものですが、この品は写真一番目のように収納状態ならまったく安心です。 遊び心もくすぐられ、手にしてみると楽しいもので、なにはなくとも、出したり入れたりしてみたくなります。 

赤錆や黒錆が混じっていますが、基本的には黒錆が勝っており、これからもお手入れしだいで、いい感じなアイアン アンティークになっていくでしょう。

栓抜きのスクリュー棒を両側から挟み込む二本のアームが、強力なスプリングの働きをする、なかなかのアイディア品です。 スクリュー棒とアームの接合部は凹凸の形にスティールが切ってあり、アーム両サイドから押す力が強いので、写真一番目のように閉じた状態か、写真二番目の伸ばした状態で、カチッと形状が収まる仕掛けになっています。 

ヴィクトリアンからエドワーディアン頃のブラックスミスの仕事になります。 金属細工人の中でも鍛冶屋さんをスミスあるいはブラックスミスと言いますが、主要な交通手段が馬や馬車であったヴィクトリア時代においては、ブラックスミスはとても重要な職業で、どこの村にも鍛冶屋さんがありました。 カンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは鍛冶屋さんでもあったという話がありますが、これなどは昔の時代にあっては鍛冶屋さんの役割が重要であった証左とも言えましょう。

各方面に技術が進歩した現代ではちょっと想像がつき難い所でありますが、昔の時代にあっては鍛冶屋さんは長いあいだ社会の先端技術者であり続けました。 もっと遠い昔、ヒッタイトの時代には鍛冶屋の技術を修めれば征服者にもなれたことに思いをいたしてみるのもよいでしょう。

知り合いに先祖が鍛冶屋さんだった方があって、その方は電気関係のエンジニアですが、科学全般に造詣が深く鍛冶屋の仕事についても、いろいろ教えてもらいました。 赤錆、三酸化鉄、黒錆、五酸化鉄、鉄の焼入れ等々、錆も含めた鉄のコントロールについていろいろ習いました。 ごく簡単に言えば、赤錆は悪い錆びですが、黒錆=四酸化三鉄=トリアイアン・テトラオキサイド(triiron tetraoxide)は鉄を守るよい錆びです。 経験的に知っていたのかも知れませんが、こういう化学知識も備えもって鉄をコントロールしてきたのが、昔の鍛冶屋さんであったのです。

写真のアンティークは実用品として作られたものですが、現代にも通じるデザインや機能性の高さ、そして遊び心など、ヴィクトリアン アイアンワークのペンダントヘッド に見られるようなブラックスミスの作品と根っこは同じ仲間たちと感じます。 

コルク栓抜きは英語で言うと「Corkscrew」になりますが、この単語の響きがなんとなく好きで、実際に使えるアンティークであることにも惹かれるのです。 使えるアンティークとしてはコンパスや置時計もよいのですが、食事や会話を楽しんでいる中で、ワインの栓を抜くひと時というのは、華のある儀式のようなものであって、そんなときに使えるアンティークなコークスクリューに興味を覚えます。

英国アンティークにはアイアン アンティークという専門分野があります。 イギリスには世界初の鉄橋で、ユネスコの世界遺産にもなっているアイアンブリッジという誰もが知っている観光地があって、英国人にとってアイアン アンティークと言われてまず思い浮かぶのは、この産業革命の遺産であるアイアンブリッジであることが多いようです。 

鉄の道具の歴史はかなり古いわけですが、ジョージアンの時代の中頃に始まった産業革命の影響が大きく、次のヴィクトリア時代を通じて、鉄製品が芸術的な領域にまで高められていきました。 ですからイギリスにおけるアイアン アンティークとは、この国の人たちにとって誇らしいアイアンブリッジや産業革命の延長線上にあって、ヴィクトリアンのノスタルジーを感じさせてくれるアンティーク分野であるのです。

昔の鍛冶屋さんの仕事はと言えば、馬の蹄鉄を取り扱う以外にも、例えば、以下にありますような、パブサイン看板のアイアンフレームを作るような仕事もあったでしょう。 スケッチしましたパブ看板のフレームは、なかなかに見事な作品でありました。
http://www.igirisumonya.com/antiquecenter.htm

ヴィクトリア時代にはどこの村にもあった鍛冶屋さんと書きましたが、二十一世紀の現代でも、イギリスにはまだ多くいらっしゃることを最近知りました。 私は担ぎタイプのゴルフバックを使っているのですが、スタンドの稼動部が壊れてしまいました。 気に入って使っていたので、出来れば直したい。 細いスティールパイプとそれにつながる鉄のL字金具を溶接すれば修理が可能です。 

電話帳で調べたら、街には何軒か鍛冶屋さんがあることが分かりました。 一番近くの鍛冶屋さんと連絡を取って、持ち込んだら、翌日には直しておくとのこと。 しかし出かけるので、修理したら庭先に置いておくから持っていってだって。。。 誰かに取られたりしないかなと心配でしたが、行ってみたらありました。 けっこうアバウトで英国風な職人さんでありました。

ヴィクトリアン 折りたたみ式 鉄製 コークスクリュー (ワイン栓抜き)



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