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No. 16263 シースルータイプ コンパス ペンダントヘッド
留め具を含む縦の長さ 3.0cm、直径 2.5cm、コンパス本体の直径 2.0cm、厚さ 6.5mm、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃、英国製、一万七千円

周りを取り巻くロープ飾りは銀素材で間違いないでしょう。 留め具の円環にはスターリングシルバーを示すライオンパサントの刻印があります。 上下のカバーガラスがとても厚い作りで、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の作と分かり、これもまたアンティークの味わいと感じます。 磁力はよく保持されていて、磁針がクルクルとよく動き、機能面でも優れたコンパスです。

磁針の周りの丸く黒い部分は、表裏のカバーガラスの向こう側の布地が透けて見えている為です。 向こう側が透けて見えるなかで、磁針が揺れている涼しげな雰囲気も気に入っています。 

何気に見ていると気が付きませんが、よーくじっくり見てみると、なかなかの細工の工芸品であることが分かります。 表と裏の二枚のカバー間に磁針の軸を差し渡し、上下のカバーにブリッジをかけるようにして、軸を固定すると同時に磁針がクルクルと機能するのはなぜでしょうか。 上下カバーの内側には小さな穴が削り掘ってあって、両端を針のように尖らせた磁針軸が、微妙なバランスでもって内部に留め置かれることで、磁針の動作機能が保たれる仕組みなのです。

カバーガラスは厚みがあってしっかりしたもので、興味深く思います。 かなり厚みのある鉱物性ガラスは、それ自体が現行品では換え難いアンティーク品と言えます。 ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃まで使われていましたが、今ではあまり見かけず、代替が難しい品なのです。 イギリスの時計店などで聞くと、このガラス自体がミネラル(鉱物)と呼ばれています。 

ロープはマリーンモチーフの一つですが、20世紀初めエドワーディアンの頃のイギリスでは、シーサイドホリデーが人気となって、例えば英国南部の海岸リゾート地であるブライトンやサウスエンド オン シーなどは大いに賑わいました。 波模様、アンカー、操舵輪、ロープ、ヨットなどのマリーンモチーフの流行は、こうした時代背景によっています。

イギリス人は今も昔も野歩き好きで、遠いヴィクトリアの時代からコンパスが利用されてきました。そして今ではアンティークコンパスはコレクターアイテムでもあります。アンティークなコンパスですが、正しい方位を示してくれます。これさえあれば、野歩きで森に入っても道に迷う心配はありません。

方位磁針というとアウトドアのイメージですが、都会の街でも便利です。例えば、ロンドンの地下鉄では乗り換え時にいくつもの通路や階段を行ったり来たりするうちに、自分がどの方角にいるのか分からなくなったりします。そんな時、電車が入ってくる方角や、電車の前後のどちらに乗ったらよいか等、ちょっと知りたい時にも便利です。(ロンドンの地下鉄は日本と違って、駅のホームに隣駅の駅名表示がないので、電車がホームの左右どちらから入ってくるか、すぐには分からないことが多いのです。)首にさげていると中の針がゆらゆら揺れるのも楽しいものです。電車に乗っている時はモーターからの電磁波の影響で針がくるくると回り、子供が不思議がります。

お客様から教えていただいた、いいお話がありましたので、以下でご紹介させていただきます。
『米映画「依頼人(THE CLIENT)」の放送を見たためです。少年がポケットにあった1ドルで女弁護士を雇う話です。それが映画の中で、女性弁護士が「あなたが幸せの道を間違えないように」(こんな感じのセリフでした)と、少年に祖母からもらったというコンパスネックレスをかけてあげるシーンがあったのです。このコンパスネックレス自体は、シルバーの三角形(△)の真ん中に小さいコンパスが付いているだけという地味なデザインだったのですが、昔からそういう意味でコンパスネックレスがあるのかと思ったら、ちょっと気になってしまいました。』

シースルータイプ コンパス ペンダントヘッド

裏面の様子
シースルータイプ コンパス ペンダントヘッド

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