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No. 16261 黒檀 ブレード & スターリングシルバー ハンドル ペーパーナイフ
長さ 19.7cm、重さ 17g、シルバーハンドルの最大幅 1.35cm、最大厚み 1.0cm、1912年 チェスター アセイオフィス、一万五千円

美しい黒檀素材のブレードに、スターリングシルバー ハンドルという組み合わせのエドワーディアン アンティーク ペーパーナイフです。 ハンドル部分には四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。

黒檀(こくたん= Ebony)と言えば、イギリスにおいても典型的な銘木であって、色合いが綺麗で観賞価値が高いことから、その稀少性が尊ばれてきたから素材です。 黒檀はインド南部からスリランカを原産地とすること、そして作られたのはエドワーディアンの終り頃にあたっていることからして、かつて七つの海を支配した大英帝国の古きよき時代を色濃く反映したSilver & Ebonyのペーパーナイフと感じます。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 このシルバーナイフが作られたのは1912年ですから、少し前に正式なアンティークに仲間入りしているわけです。 日本における1912年といえば大正時代の初め頃にあたり、ずいぶんと昔のことになりましょう。 やはり百年経っているということは、アンティークとしての大きな魅力になると思うのです。

写真のペーパーナイフが作られたのは1912年ですから、正式なアンティークに昇格した物品ということになります。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、このナイフには、そんな楽しみ方もあるかと思うのです。

歴史を振り返ってみますと、この品が使われたのは第一次世界大戦の頃になります。 その頃の出来事として、今から百年前の1912年にはタイタニック号氷山に衝突して沈没とか、あるいは日本では明治時代が終って大正時代になり、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

ハンドル部分に見えているホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、チェスター アセイオフィスの三つの麦束マーク、そして1912年のデートレターになります。

チェスターシルバーというのも希少価値があってポイントとなりましょう。 英国各地のアセイオフィスで検定を受けたスターリングシルバーのおそらく9割以上は、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのいずれかの品で、チェスターは数が少ないのです。 

チェスター アセイオフィスのシティーマークがくっきりと読み取れます。 チェスターのマークは「Three Wheat Sheaves(三つの麦束)」と呼ばれ、1686年から使われてきたものですが、1962年にチェスターアセイオフィスが閉鎖となったので、今はもうありません。

ウィート シーフ(麦束)とは、豊穣、生産力(Fecundity)、肥沃さ(Fertility)のシンボルで、英国ではラッキーモチーフとして好まれる縁起物です。 そもそも小麦はギリシャ神話に出てくる「農業、豊穣、結婚の女神デーメーテール」を象徴しています。 以前にミントン美術館で見た「ウィート シーフを抱えた少女の絵皿」にとても惹かれ、この少女の顔立ちはデーメーテールを意識したのかしらと、妙に気になったのを覚えていて、それ以来どうも私はこのウィート シーフというモチーフに惹かれるのです。

ミントンの絵皿とウィート シーフについて、「英国アンティーク情報」欄の「13. 英国陶器の街、ストーク オン トレント」の解説記事に写真がありますのでご参考まで。

黒檀 ブレード & スターリングシルバー ハンドル ペーパーナイフ

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