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No. 16116 アトキン ブラザース シルバープレート ジャムスプーン with ピアストワーク SOLD
長さ 15.7cm、重さ 29g、ボール部分の横幅 4.05cm、深さ 5mm、柄の最大厚み 2.5mm、透かし柄の最大幅 1.6cm、透かし部分の最大厚み 2mm強、Atkin Brothers Ltd作、SOLD

シルバープレートの品ですが、時間をかけて作られた素晴らしい出来栄えで、美しいなかにも重厚な雰囲気を持った、いかにも英国風なアンティークと感じます。 ボール裏面の接地部分などプレートが薄くなったところもありますが、これは時を経たアンティークの味わいのうちでしょう。

柄先には透かし細工のシェルデザインが綺麗です。 その下方をご覧いただくと、やはりピアストワークの三つ葉デザインが施されているのが分かります。 手仕事の美しさに加えて、このあたりはモチーフのよさにも惹かれます。 

透かし部分は2ミリ以上の厚みがあって、美しいなかにも重厚な雰囲気を感じます。 マグニファイイング グラスで詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 現代のシルバースミスの方からお聞きしたのですが、当時の手間をかけた丁寧な仕事は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのこと。

そもそもこれだけの仕事が出来る職人さんは、現代では探しても見つからないわけで、このジャムスプーンのピアストワークを眺めているだけでもアンティークな気分に浸れます。

さらに、このアンティーク ジャムスプーンの大きなポイントは、シルバープレートの品でありながら、メーカーズマークの判読および識別が可能で、ヴィクトリアンの有名メーカーの一つである「Atkin Brothers Ltd」の作であることが分かる点にあります。 柄の裏面には「HA」「EA」「FA」の三つの刻印が並んでいて、これはAtkin三兄弟のHarry Atkin、Edward Atkin、そして Frank Atkinのイニシャルを合わせたものになっています。

英国の多くのシルバースミスはヴィクトリア期の19世紀後半創業という会社が多いのですが、このジャムスプーンを作ったAtkin Brothers Ltd.は、その創業が1750年という老舗です。 三兄弟が父親のヘンリー・アトキンから銀工房を譲られたのが1853年のことで、それ以降は「Atkin Brothers」として工房が運営されてきました。 また第一次大戦を経て英国の勢いがピークを過ぎるとともに消えていったシルバースミスが多い中にあって、Atkin Brothers Ltdの勢いは衰えませんでした。 1930年代にはこの会社は当代一流の職人を抱える会社として名を馳せていました。 

1938年の英国産業展覧会ではAtkin Brothersご自慢の職人、親方衆がクイーンメアリーに謁見を許されお褒めの言葉を授かったとの記録が残っています。 親方衆の中には、Atkin Brothers勤続63年のハリーデニスや勤続62年のジョンストークスが含まれていました。 そして当時31人いた親方衆の平均勤続年数は47年4ヶ月だったそうです。 こうした親方たちの手仕事に支えられた品物のクォーリティは相当高かったと考えられます。

シェルパターンは12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。

英語には「live in the clover (安楽に暮らす)」という言い回しがあり、こうした三つ葉のクローバーのよい意味合いが、このジャムスプーンには込められています。 クローバーと安楽の繋がりについて、牧草を刈り入れしていたファーマーの方から教えていただいたことがあるので、ご紹介しておきましょう。 

牧草など植物の成長には土中の窒素分が必要ですが、クローバーは進化した植物で、大気中の窒素を直接に取り込んで養分に出来るのだそうです、そのため、クローバーのある畑は肥沃になります。 また家畜の飼料としてもクローバーの繊維質とプロテインが動物たちの成長に欠かせないのだそうです。 と言うわけで、クローバーに恵まれた農場は栄え、安楽に暮らしてゆけるということでした。

アトキン ブラザース シルバープレート ジャムスプーン with ピアストワーク





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