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No. 15623 エドワーディアン スターリングシルバー&マザーオブパール ジャムスプーン
長さ 13.2cm、横の長さ 3.6cmcm、重さ 15g、1905年 チェスター アセイオフィス、一万七千円

今から百年と少し前に作られたエドワーディアンのスターリングシルバー ジャムスプーンで、ハンドルはマザーオブ パールです。 差込み式のシルバー柄にマザーオブパールやジェード等のハンドルがついたジャムスプーンはあまり見かけないので、レアものアンティークと言えましょう。

写真一番目で見えるように、ボール部分の先にはブリティッシュ ホールマークが刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、チェスター アセイオフィスのシティーマーク、そして1905年のデートレターになります。 下側のメーカーズマークは刻印があまいですが、上側にあるライオンパサント、チェスター シティーマーク、デートレターはしっかり深く刻印されています。

ウェーブパターンのハンドエングレービングも綺麗です。 手彫りのエングレービングの背景部分には、写真で見て、色合いが濃くなっているところがありますが、これは微細な彫刻線で影をつけた細工で、1ミリ間隔に何本もの彫刻線が刻まれている様子が、ルーペでご覧いただくと分かります。 かなり細かなエドワーディアンの限界的な職人技と言えるでしょう。

彫刻デザインの波模様はオーソドックスなヴィクトリアンおよびエドワーディアン アンティークの特徴です。 波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。

チェスターシルバーというのも希少価値があってポイントとなりましょう。 英国各地のアセイオフィスで検定を受けたスターリングシルバーのおそらく9割以上は、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのいずれかの品で、チェスターは数が少ないのです。 

裏面を見るとチェスター アセイオフィスのシティーマークがくっきりと読み取れます。 チェスターのマークは「Three Wheat Sheaves(三つの麦束)」と呼ばれ、1686年から使われてきたものですが、1962年にチェスターアセイオフィスが閉鎖となったので、今はもうありません。

ウィート シーフ(麦束)とは、豊穣、生産力(Fecundity)、肥沃さ(Fertility)のシンボルで、英国ではラッキーモチーフとして好まれる縁起物です。 そもそも小麦はギリシャ神話に出てくる「農業、豊穣、結婚の女神デーメーテール」を象徴しています。 以前にミントン美術館で見た「ウィート シーフを抱えた少女の絵皿」にとても惹かれ、この少女の顔立ちはデーメーテールを意識したのかしらと、妙に気になったのを覚えていて、それ以来どうも私はこのウィート シーフというモチーフに惹かれるのです。

マザーオブ パールという素材はミルクホワイトの輝きが内側からこぼれてくるようで、光に当たると見えてくるうっすらとした虹色の輝きが綺麗です。 

マザー オブ パールの品をお買い上げいただいたお客様から、次のようなお便りをいただきましたので、ご紹介させていただきます。
『取手の白蝶貝のうっすらとした輝きがとても綺麗です。 まるで、嵐が来る前の空のようだと思いました。 上空を凄い速さで白い雲が流れていく中、時折、空全体がぱあっと明るくなる様子を髣髴とさせます。』

イギリスは一日の中でもお天気の移り変わりが激しくて、さっきまで晴れていたかと思うと、一転してにわかに雲が天を覆うことも多く、お客様からの文章にあったような光景をしばしば目にいたします。 なるほどと、マザーオブパールをとてもよく形容しているように思いました。

エドワーディアン スターリングシルバー&マザーオブパール ジャムスプーン



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