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No. 15594 シェル デザイン スターリングシルバー バターナイフ
長さ 13.7cm、重さ 20g、最大幅 2.4cm、柄の最大幅 1.1cm、柄の最大厚み 2mm強、1942年 シェフィールド、七千八百円

ちょっと変わったフォルムをしておりますが、ブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されておりますので、イギリスで作られたスターリングシルバーのバターナイフと分かります。

さらに、手にしてじっくり見ていくと、銀が厚めでしっかり出来ているところは、ベリー ブリティッシュなシルバーウェアと言えますし、柄先の装飾もシェルのデザインであって、イギリス銀装飾の歴史や伝統にのっとったシルバーウェアであることが分かってきます。

写真二番目に見えるように、裏面にはメーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1942年のデートレターが刻印されています。

シェルのモチーフは、もともとは12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。

この品が作られた1942年は第二次大戦の最中になります。 英国は戦勝国とはなったものの、大変な時期であったことは間違いありません。 ロンドンはドイツから弾道ミサイルの攻撃を受けたり、爆撃機による空襲も頻繁にありました。 私の住むところはロンドンの北の郊外で爆撃の目標にはならなかったようですが、近所のお年寄りの話では、ロンドンを空襲した帰りの爆撃機が、残った爆弾を抱えていると重いので、帰路の燃料節約の為に落とし捨てていくコースに当たっていて、怖かったとのこと。 

とは言うものの、バターナイフのような品を純銀で作っていたとは、当時のイギリスは結構余裕もあったんだなあ、戦争といっても切羽詰った感じが伝わってこないなあ、とも思うのです。

余談ながら、近所のゴルフ場でシニアゴルファーのおじいさんからお話を伺ったことがあります。 そのゴルフ場は1935年にオープンして七十年以上の歴史があるのですが、そのおじいさんが子供の頃に初めてプレーしたのが1942年だったそうです。 当時は戦争中でガソリンは貴重だったので、芝刈り用のトラクターが使えず、羊を放牧してフェアウェーの芝の長さを調整していたとのこと。 「たまに羊にボールが当たって大変だったよ。」とおっしゃっていました。

そのおじいさんはイギリス貴族というわけではなくて、いわゆる庶民にあたる方と思いますが、イギリスでは戦争中も普通の人たちがゴルフをしていたのかーと。 ガソリン不足で芝刈りが大変だったのは分かるけど、日本のおじいちゃん、おばあちゃんから聞いてきた戦争の苦労と比べると、どうでしょうか? 戦争というものは、勝つ側と負ける側では、やはり桁違いな相違があるものだと思った次第でした。

そういえば、当時のイギリスはこんなものも純銀で作っていました。

シェル デザイン スターリングシルバー バターナイフ



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