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No. 15131 Forget-me-not (勿忘草) フラワーレリーフ シルバー サービング スプーン
長さ 15.5cm、重さ 23g、最大横幅 4.2cm、ボール部分の長さ 6.1cm、柄の最大幅 1.75cm、ドイツ製 800銀、一万二千円

サーバーとしてはやや小振りながら、優雅な流線型のフォルムに加えて、ボール部分にノッチ(切れ込み構造)が多くて、それ自体が大きなお花のようにゴージャスなこと、そして Forget-me-not (わすれな草)の可愛らしいレリーフに惹かれて求めました。 

ボール部分はうっすらとゴールドギルトされているのもよいでしょう。 柄の裏面でボールに近いあたりには、ドイツ製シルバーのスタンダードマークである「クラウン&ムーン」が刻印されています。 その横には銀純度80%を示す「800」マークも見えています。

小花の様子や、花や葉っぱのつき方からみて、デザインされているのは、 Forget-me-not (勿忘草)と思います。 Forget-me-not (勿忘草)の伝説は、中世のドイツに伝わるお話で、このシルバーウェアにもドイツ製シルバーのスタンダードマークが刻印されております。 ちょっとした縁を感じました。

写真二番目や三番目に見えるように、フラワーレリーフが柄の両面にわたっているのもポイントです。 柄の中ほどにクルッとしたリボン飾りのような装飾があるのも気に入りました。 写真三番目ではボール部分にまで装飾が及んでいるのが分かりますが、そうは言っても装飾過多というわけでもなくて、プレーンなシルバー部分と、フラワーレリーフの装飾部分のバランスが取れていて、品のよさを感じます。

なお、わすれな草はヨーロッパを原産とする、薄青色の小花が可憐な一年草で、信実とか友愛のシンボルとされます。 花言葉は「Forget-me-not」そのもので、「忘れないで」です。

「Forget-me-not」はイギリスのフィールドでよく見られる花で、昔から咳止めなどの薬草としても使われてきましたので、人気があって役に立つ花です。 イギリスの勿忘草は、細かく言うと四つほど種類があります。 野原で一般的なのは「フィールド勿忘草」、森の中で見られる「ウッド勿忘草」はやや大型です。 イエローからブルーに色が変わっていくのが「チェインジング勿忘草」で、ふさが特徴の「タフティド勿忘草」もあります。

日本語で「忘れな草」を「勿忘草」と書くと、漢文調な雰囲気で古っぽく見えて、万葉集や古今和歌集にも出てきそうな日本古来の野草のようにも感じます。 実際には「Forget-me-not」が日本にやってきたのは、百年とちょっと前のことで、「勿忘草」or「わすれな草」と訳語の日本名が付けられたのは、日露戦争があった1905年のことでした。

それでは、イギリスではどうかと言うと、これまた日本と同じ事情で、実は「Forget-me-not」という名前は舶来品の訳語でありました。 「Forget-me-not」という花の名は、元々は中世ドイツの伝説が起源で、ドイツ語の「忘れないで!」というのが、根っこになって世界中に広がっていったのです。 この伝説をもとにしたポエムをイギリス人のサミュエル・コルリッジが書いたのが1802年でありました。 そしてこれが英語の中に「Forget-me-not」が受容されるきっかけになったのです。

ドイツ起源の「勿忘草」がデンマークやスウェーデンに伝わり、そしてフランスに伝わり、イギリスに入ってきたのが1802年、それから百年ほどして日本へ、言葉の伝播の歴史も興味深く思います。

Forget-me-not (勿忘草) フラワーレリーフ シルバー サービング スプーン



柄の裏面の様子

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