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No. 15070 アダム&イブ ピアストワーク飾り スターリングシルバー デザートスプーン
長さ 14.9 cm、ボール部分最大幅 3.0cm、ボール部分深さ 0.8cm、重さ 36g、1922年 シェフィールド、William Hutton & Sons Ltd作、一万五百円

ボール部分、柄、そして透かし部分とすべて銀に厚みが感じられて、36グラムと持ちはかりがあるスターリングシルバー スプーンです。 デザートスプーン サイズになりますが、現代的な使い方としては、普段使いの一本としても十分な大きさと思いますので、デザート用途に限らず、いろいろとお使いいただけるでしょう。 

柄先の透かし部分は最大厚みが2ミリほどあって、透かし断面には糸鋸を手仕事で引いたギザギザ跡が残っています。 特に、この透かし部分の銀には厚みが感じられて、手仕事の作業は大変だったろうと思いますが、手にした時の重厚感は好印象な仕上がりです。 

手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 現代のシルバースミスの方からお聞きしたことがありますが、作業にかなりの時間を要するこうした透かし細工は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのことでした。 そして、そもそもこれだけの技術を持った職人さんが現代ではいなくなっているのです。 

アダム&イブのモチーフから考えて、クリスティングのお祝い品と考えておりました。 ところが、仕入先からの情報で追加で二本入手しました。 同タイプの銀製品があるということは、すぐれて個人的なクリスティングスプーンというよりは、教会関係の記念の品であるとか、なにか他の背景も考えられるかなと思います。 

写真三番目に見えるように、ボール裏面には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されております。 ホールマークは順にWilliam Hutton & Sons Ltdのメーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1922年のデートレターになります。

「William Hutton & Sons Ltd」は1800年ちょうどにWilliam Huttonが始めた歴史のある銀工房です。 息子から孫へと家族経営が続き、まわりのシルバースミスを吸収合併しながら、次第に有力メーカーの一つに成長していきました。 そして、ヴィクトリアン後期には、Herbert, Robert, Edwardの三人の孫たちが共同パートナーとなって銀工房が運営されておりました。

末っ子のEdwardには、最も芸術センスがあったのか、本体である「William Hutton & Sons Ltd」のメーカーズマークの他に、独自のメーカーズマークである「EH」刻印の作品が今に残っています。

おそらく、二人の兄たちはファミリービジネスの規模を拡大するという経営面に、より長けていて、末っ子のEdwardは経営より銀そのものに関心が高い人だったのではないかと思うのです。

「William Hutton & Sons Ltd」のメーカーズマークは縦横に並んだ文字配列が特徴的なので、一度でも見れば記憶に残ることでしょう。 楕円形のメーカーズマーク中央に位置する大きなHの文字がマークを四つの領域に分割し、それぞれにW、&、Ss、LDの文字が配された凝った作りのメーカーズマークになっています。

アダム&イブ ピアストワーク飾り スターリングシルバー デザートスプーン

アダム&イブ ピアストワーク飾り スターリングシルバー デザートスプーン


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