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No. 15069 ミントン ヴィクトリアン タイル
縦横の長さ 15.2cm*15.2cm、厚さ 0.9cm、重さ 375g、Mintons China Works作、ヴィクトリアン後期の英国製、一万二千円

ミントンのヴィクトリアン タイルで、右下部分が破断したものを石膏で修復してあります。 キズものと言えば、その通りなのですが、絵がよいこと、題材がよいことを勘案すると、手元に飾って楽しめるヴィクトリアン アンティークであると思います。 また、こういった古い品を修復しながら、大切に残していくというのが、いかにも英国風であることから、私は気に入って求めました。

アンティーク タイルの飾り方についてですが、木製フレームにアンティーク タイルを入れて、壁掛け飾りにされているコレクターの方があって、素敵だなと思いました。

友人のアンは近所のオープンカレッジで、「Furniture restoration」 (家具の修復)のコースを学んでいます。 彼女が直したという椅子に座ってみましたが、グラグラしました。 それでも彼女は満足顔です。 古いものへの愛着とこだわりはイギリス人の国民病にも思えてきます。

テレビで熊のプーさんの「プーブリッジ」改築の話を見ました。 物語の中でクリストファー・ロビンとプーさんが棒切れを流して遊んだとされる「プーブリッジ」は、観光地になっています。 1907年築の橋は古くなって架け替えの必要がありますが、昔の工法をそのまま用いるので、架け替えに手間も費用もかかるというものでした。 古いものを直しながら使う方がお金がかかることが多いのです。 現代の工法をもってすれば、ほとんど同じ橋が架けられます。 それでいいのではないかとも思いますが、そうしないのがイギリス人のようです。

ミントンでタイル絵を描いた有名作家にMoyr Smithがいます。 Moyr Smithものでは、聖書を題材にしたシリーズや、英国の詩人アルフレッド テニスンがアーサー王伝説について書いた詩『Idylls of the King (1859)』 を題材にしたシリーズなどが有名です。 

写真のタイルは聖書を題材にしたMoyr Smithものになります。 王様の台座の下にJohn Moyr Smithのサインがあります。 場面はエジプト王と面会するヨセフということでしょう。 ヨセフは異母兄弟たちにいじめられて、故郷を離れ苦労もしましたが、後にはエジプト王に認められて、エジプト宰相にまで登り詰めた人物です。 さらに後には兄弟たちとも和解してイスラエルの直系となっていった旧約聖書の主人公の一人であります。 

裏面には「MINTON CHINA WORKS, STOKE ON TRENT」の表示と「ミントン釜のマーク」があります。
ミントンについては英国アンティーク情報欄にあります 「英国陶器の街、ストークオントレントとクリスマスのアンティークな見方」の記事もあわせてご覧ください。

英国タイルの歴史を紐解くと、19世紀後半はヴィクトリアンタイルがブームを迎えた時期にあたっています。 ミントンの二代目ハーバートは新しい技術を取り入れて、飛躍的に増大するタイル需要に応えるとともに、美術的にもタイルを完成の域にまで到達させ、「ヴィクトリアンタイル産業の父」と呼ばれました。 

ヴィクトリアン初期の装飾タイルは、教会や国会議事堂など限られた建物のデコラティブ建材として使われる程度でした。 しかし次第に広い需要にも応えられるようになって、ヴィクトリアン後期には家庭の暖炉縁辺を飾るオーナメント等にも使われるようになりました。 

ミントン ヴィクトリアン タイル


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