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No. 14981 バラの花 ハンドエングレービング スターリングシルバー ロケット with ブリティッシュ ホールマーク
直径 3.5cm、最大厚み 4mm、縁辺部厚み 2mm弱、全体の重さ 14g、1976年 バーミンガム アセイオフィス、一万円

丸いシェイプのスターリングシルバー ロケットで、バラの花は手彫りのエングレービングです。 懐中時計のように縦に開くタイプのロケットは比較的珍しいと思います。 

写真三番目に見えるように、裏面はプレーンなスターリングシルバーで、四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1976年のデートレターとなっています。

1976年作というと、英吉利物屋の扱い品としては新しいですが、それでも三十六年という年月が経過しております。

彫刻の様子はヴィクトリアンやエドワーディアンと比べますと、やはり今風を感じますが、深めなエングレービングが彫刻切面に様々な角度をもたらし、ブライトカットと同様な効果があって、光が反射する様子は美しいと思います。

バラの花が二つ見えていますが、英国の統合を象徴するチューダーローズの伝統を持つイギリスでは、昔からバラの花が好まれてきたことが、背景にありましょう。 

大小二つのバラの花を組み合わせたデザインはチューダーローズと呼ばれ、バラ戦争後の英国の統合を象徴するチューダー朝の紋章となりました。 バラ戦争は赤バラを旗印とするランカスター家と、白バラのヨーク家が、新旧諸侯を巻き込んで互いに覇を競った中世末期の30年にわたる内乱で、結局は両家が共に戦いで消耗しきってしまったことから、漁夫の利を得たランカスター派のヘンリー・チューダーが次のチューダー朝(1485年〜1603年)を興しました。

このチューダーの時代は、イギリス歴史教育の中で、とっても大きな比重を占めていることを知りました。 下の娘の学校で開かれた大学入試教育課程の説明会に出かけたのですが、二年にわたる受験対策の歴史授業は、『チューダー時代』と『大恐慌から第二次大戦までの米国を中心とした世界史』とのこと。 この二つの時代しか勉強しないのです。 つまり大学入試の出題範囲はこの二つだけということになります。

イギリスでは小学校からチューダーについて学び、中学校でも学んでいます。 それでまた大学入試もチューダー一辺倒とは、いささか驚きました。 範囲が狭いので、かなり掘り下げた授業になり、日本で言えば大学教養課程から専門に近い内容となるようです。 狭い範囲を掘り下げて、歴史を如何に学ぶかという手法を身につけたなら、あとは興味さえあれば、他の時代はおのずから学べるようになる、というのがイギリス流の歴史教育らしいです。 しかし、それで本当にいいのか、私は少なからず疑問を感じながら、聞いてきました。

ちょっと話が脱線しましたが、イギリス人のバラ好みの背景には、しつこいほどのチューダー教育の成果もありそう、と思うのです。 

バラの花 ハンドエングレービング スターリングシルバー ロケット with ブリティッシュ ホールマーク




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