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No. 14919 ブルーベル シルバー ナイフ
長さ 16.4cm、重さ 25g、ブレードの最大幅 2.25cm、透かし柄の最大厚み 2mm、柄元付近の銀厚み 2mm、1948年 オランダ製、一万七千円

ブルーベルの透かし柄が可愛らしく、綺麗なフォルムのシルバー ナイフです。 ブルーベル柄のモチーフに特徴があることはもちろんですが、流麗な曲線ラインがもたらす優雅な雰囲気にも惹かれる品と思います。 

ブレード部分はふっくらと丸っこいタイプで、銀に厚みを感じます。 柄元付近で銀の厚みは2ミリ、手にした感じもしっかりです。 25グラムと持ちはかりがあり、銀の質感が心地よいシルバーウェアに仕上がっております。 デザイン性の高さと適度なサイズからすると、レター開封用のペーパーナイフとしてお使いいただくのもよいかと思います。

ホールマークを判読しますと、今から六十年以上前の1948年に、オランダの古都スホーンホーフェンで作られたシルバーウェアと分かります。 なかなかに古いシルバーウェアであること、そしてアセイオフィス マークの良さもポイントです。

古くからのイギリスの言い伝えによれば、ブルーベルは St.George's Day(=4月23日)に、花としてこの世に生まれたとされます。 イギリスの守護聖人 St.Georgeと深い繋がりがあるブルーベルは、初夏の訪れを告げるワイルドフラワーであることも、野歩き好きな英国の人たちに好まれる理由になっているようです。 

しかし、植物学的にはブルーベルは欧州大陸の北西部にも分布しており、そうした背景があってデンマークやオランダでも、ブルーベル デザインのシルバーウェアを見かけます。 

写真三番目に見えるホールマークは順に、1948年のデートレター、Schoonhovenのアセイオフィスマーク、オランダ製シルバーであることを示すスタンダードマーク、そしてメーカーズマークになります。 

より具体的には、「兜をかぶった男性の横顔」マークが刻印されていて、オランダ製シルバーであることを示しています。 オランダのホールマーク制度によれば、「兜」の中に刻印されたアルファベットの一文字で、「A」はアムステルダムとか「D」はロッテルダムとアセイオフィスが識別できます。 そして、この品に刻印された一文字は「M」であることから、アセイオフィスはSchoonhovenであることが分かります。

スホーンホーフェンは中世の1280年に勅許状を得て独立性の高い街となった歴史があります。 そして、Schoonhoven は Silvertown(=銀の街)とも呼ばれ、オランダにおける銀産業の総本山という役割も果たしてきました。 14世紀には国中のシルバースミスが集められ、銀産業の基盤が出来ました。 今日でもこの伝統は生きており、オランダで唯一のシルバークラフト専門学校は、このスホーンホーフェンにあるのです。

調べてみると、現在のスホーンホーフェンは、人口たったの一万人ほど、田園地帯にあるオランダで二番目に小さい市です。 街を囲う堀のような運河、市壁、醸造業、銀産業、時計産業、海運業、農業、近隣から産物の集まるマーケットタウン、銀のミュージアム、クロック ミュージアム、こんなところが街の特徴でしょうか。 中世の昔には銀や時計で繁盛した歴史を持ち、現在では小さな街というのは、歴史的建造物が多いわりには、こじんまり落ち着きがあって、旅で行ってみると、いいところが多いように思います。 私はまだ行ったことがないのですが、覚えておいて、訪ねてみたい街となりました。

近所にブルーベルの森と呼ばれる、ちょっとした地元の名所があり、初夏の季節ともなると野歩きの人たちで賑わいます。 野歩きに出掛けた時に写真を撮ってみました。 この花は森の木陰に咲くのですが、木漏れ日の中で、森の中一面にまるで絨毯が敷かれたように、ブルーベルの薄紫色がふわっと浮かぶように見える様子はとても幻想的な美しさです。











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