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No. 14846 ヴィクトリアン スターリングシルバー バターナイフ
長さ 14.4cm、重さ 13g、ブレード最大幅 2.5cm、柄の最大幅 1.85cm、透かし柄の最大幅 1.1cm、1898年 バーミンガム、Levi & Salaman作、一万五千円

今から百年以上前のヴィクトリア時代終わり頃に作られたスターリングシルバーのバターナイフですが、シンメトリーなフォルムと装飾性の高さから、ペーパーナイフとして使ってもよさそうで気に入りました。 透かし柄が美しく、柄の中ほどに見えるねじり構造は、デザイン効果と強度アップを同時に追求するのに役立っています。 

写真二番目に見えるように、柄の裏面には四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にスターリングシルバーを示すライオンパサント、1898年のデートレター、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、そしてLevi & Salamanのメーカーズマークとなります。

シルバースミスのLevi & Salamanはヴィクトリア中期の1870年にバーミンガムで創業した銀工房になります。 創業者のハリス・レヴィは、1866年に親戚を頼ってバーミンガムへ出てきましたが、持ち前の仕事熱心さで四年後には独立して事業を起こすのに成功しました。 

創業当初はギルトジュエリーのメーカーで、主に海外からの需要に応えることで事業を大きくしていきます。 1878年には企業買収を行って経営規模が大きくなり、1893年にはロンドン進出を果たしました。 ヴィクトリア時代のイギリスはゼロから出発した成功者を多く生み出していますが、ハリス・レヴィもその一人になります。 

1915年の英国産業フェアーに Levi & Salamanも出展しておりますが、その中で「兵士を救った Levi & Salaman 製の銀スプーン」というのが会場を訪れた人々の注目の的となったそうです。 ある英国兵士の胸ポケットに、もしその銀スプーンが入っていなかったら、戦場の銃弾に倒れるところだったものを、Levi & Salaman 製の銀スプーンが助けてくれたいうことで、英国王をはじめ多くの人たちの関心を集めたという記録が残っています。 

そもそも、めったに起こることではないので珍しいし、シルバーが幸運をもたらすラッキーアイテムとして好まれるお話の一つとして、当時話題になったものでしょう。

このアンティークが作られた当時の時代背景については、英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian (百年ほど前のイギリスはどんな様子であったのか?)」の解説記事もご参考まで。

ヴィクトリアン スターリングシルバー バターナイフ

柄の裏面の様子

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