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No. 14815 Mr. Punch's Cavalcade、A Revue of Thirty Years、 with 209 Illustrations & Frontispiece in Colours (The New Punch Library シリーズ第1巻)
縦 20.4cm、横 16.2cm、厚さ 2.4cm、重さ 660g、ページ数 240ページ、布張り装丁本、1935年 London、The Educational Book Company Ltd刊、Made and Printed in Great Brieain by R & R Clark Ltd Edinburgh、一万二千円

写真一番目、緑色の布地カバー部分にトレードマークになっている Mr. Punchのシルエットが見えます。 15603 Mr. Punch ティーキャディー スプーンについているパンチ氏と同じものです。

このパンチ素描画集は、1930年代に出版された全二十巻のうちの記念すべき第一巻です。 一巻目ということで、1900年頃から1930年代までの歴史や社会を総観する内容となっており、『パンチ』に少し関心を持っていらっしゃる方には手ごろな一冊となっています。

『Mr. Punch's Cavalcade、A Revue of Thirty Years』という題名は、日本語にしたら『ミスター・パンチ オンパレード、30年間のレビュー』と言うところでしょうか。 カタカナが多くて日本語と言えないかも知れませんが、この本の雰囲気や感じは伝わるかと思います。

英国事情の他にも、ロシア皇帝ニコライ二世、レーニン、ヒットラー、そしてチャップリンなど有名人が登場してくるので、見ていて興味が持ちやすいと思います。 また、歴史や世界の政治事情のみならず、写真五番目や六番目に見られるような、当時のファッションなどを含めた社会の様子が分かるのも、アンティーク ファンには嬉しいところです。 硬軟両面から楽しめる一冊になっているのはお薦めポイントと思います。

布張り装丁のしっかりした本です。 読み物もありますが、全ページにわたってパンチのイラストだらけで、合計で240ページの中に209のイラストが含まれており、見ごたえがあります。 パンチとしてはオーソドックスな風刺から、当時の服装など分かる多岐なイラストが特徴で、昔のイギリスがまるごと分かり、見て楽しめる本は嬉しいものです。 

ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン、そして1930年代初め頃までのイギリスが見ていけるアンティークな資料です。 この本は英国アンティーク研究のありかたの一つとしてお勧めしたいと思います。 

パンチはイギリスのユーモアを集約していると言われます。 以下にありますいくつかイラストと解説で、イギリス流のユーモアやウィットの一端をご紹介してみましょう。 

英国アンティーク情報欄にあります「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」の解説記事もご参考ください。 また、パンチ素描画集の全巻についてはこちらをご覧ください。

Mr. Punch's Cavalcade、A Revue of Thirty Years、 with 209 Illustrations & Frontispiece in Colours (The New Punch Library シリーズ第1巻)




左の熊が逃げていくイラストは1904年5月11日号掲載分です。 日露戦争開戦初期からの日本の優勢を伝えています。 また、右側は1904年11月2日号のイラストで、ドッガーバンク事件直後のイギリスを描いております。 英国の象徴であるブリタニアが、ロシアに対してまさに剣を抜こうとしている様子です。

1904年の秋からロシアのバルチック艦隊は日本へ向けて航行中でした。 世界史のビックイベントとして、バルト海、北海、大西洋、喜望峰を経て日本へ向かうロシアのバルチック艦隊の動きが注視され、当時のイギリスでは日本海海戦の行方が大変な興味を持って見守られていたとの記録が残っております。

そして1904年10月にはイギリス沖合いの漁場ドッガーバンクで、漁船を日本の水雷艇と誤認したバルチック艦隊が、英国漁船砲撃事件を引き起こして、英国世論が激高する事態となっています。 

日本に向かって戦争に行くロシア艦隊が、途中で英国漁船を何百発もの砲弾で打ち払って、間違いと分かった後には救助もせずに通り過ぎてしまったのですから、誰だって怒るだろうと思います。 

当時の日本とイギリスは日英同盟を結んでおりましたが、ドッガーバンク事件を契機にイギリス世論もおおいに日本に味方しました。 そしてイギリス政府によるバルチック艦隊の航海妨害などナイスアシストもあって、日本海海戦に向けて有利な展開となったのは幸いでした。 


1905年1月4日号では、ロシア皇帝が頭を抱えている様子です。 Russian Prestige(ロシアの威信)と描かれた砂時計の砂がなくなりかけております。






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