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No. 14812 ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 12.3cm、重さ 15g、ボール部分の長さ 4.2cm、最大横幅 2.55cm、ボールの深さ 0.7cm、柄の最大幅 1.4cm、1900年ロンドン、James Wakely & Frank Wheeler作、一本一万円 (11本あります-->10本あります-->8本あります-->7本あります-->6本あります-->5本あります-->4本あります-->SOLD ) 

写真のアンティーク ティースプーンをお求めいただいたお客様から、このティースプーンが到着してのご感想をいただきました。 私が書く説明以外に、実際にお求めいただいた方からのコメントも、ご検討いただいている皆様のお役に立とうかと思います。 ご感想をお寄せいただいたお客様方からご承諾がいただけましたので、コメントを掲載させていただきます、ご参考ください。

『実物は画像で拝見するのと比べ物にならない綺麗さですね! エングレイビングの細かさに感動し、暫くうっとりと眺めておりました。 本当に芸術作品で、ネックレスとして首から提げられないかと、一寸本気で考えてしまいました。(笑) キラキラと涼やかな感じでとっても素敵です。』 埼玉県 K.E.様より

『英吉利物屋さま

こんにちは。 スプーン、到着致しました。 ありがとうございます。 普通に郵便物としての受け取りでした。

本当にすばらしいスプーンですね。 何とも言えない細工の美さ、しばらくうっとりと眺めて過ごしました。 使うのがもったいないぐらいですが、今日早速食事の後のティータイムに主人と楽しみたいと思います。

これからもすばらしいアンティークシルバーの世界を、淡路島より拝見させて下さいませ。 今日は本当に感動の日でした。 心より御礼申し上げます。』 兵庫県 K.K.様より

私は島巡りや岬や灯台巡りに魅力を感じますもので、英吉利物屋のアンティークを淡路島でもお使いいただけること嬉しく思っております。 あいにく淡路島には伺ったことがありませんが、礼文島、佐渡ヶ島、隠岐の島、伊豆七島、瀬戸内の島々、直島など旅しました。 以前に香港島に住んでおりました時には、家族四人で対岸まで手漕ぎボートで渡ったこともありました。 イギリスに住んでからも、界隈の島には関心があり、ワイト島、マーシー島、ホーリー島など巡っております。 干潮の時だけ道が出来て、満潮になると道が水没して渡れないマーシー島など興味深かったです。 英吉利物屋のアンティークを淡路島でもお使いいただけると、ひそかな自慢になります、ありがとうございました。

それから、もう一つ、今度はいつも英吉利物屋をご贔屓いただいているお客様から、品物到着確認メールで、「アンティークスプーンは何本見てもそれぞれに個性と魅力があって素晴らしい。」とご感想いただきました。

アンティークスプーンの個性と魅力については、やはり当時と現在では人手のかけ方が桁違いであることが背景にあろうかと思います。 スプーン等のテーブルウェアの分野では、百年前には労働集約的な職人さんの作業が大半でした。 現在では人件費の高騰から、人手をかけることはビジネスの弱点になりかねず、大半は機械化されております。 そう考えると、桁違いどころか、人手のかけ方はおそらく百倍あるいは千倍違うというのが本当でしょう。

また、アンティークスプーンには、現代の品と違ったよさのみならず、同じシリーズのスプーンであっても、手仕事ですから彫りの様子がそれぞれに違っており、個体差があってそこにもさらなる個性を感じさせます。 

ひるがえって現代の製品を考えますと、この個体差を出来る限り除いていくことが、目標になってきました。 百年という月日の流れの中で、物作りの背景にある基本的な考え方にも、大きな変化が起こってきているように思います。

それでは、人手のかかった昔の仕事がどういうものか、ご紹介してみたいと思います。 写真のティースプーンはヴィクトリア時代最後の年に作られており、今から百十年ほど前のアンティークになります。 写真一番目と二番目で、柄の部分に施されたハンドエングレービングを、比較してご覧になってください。 

長さ、重さ、製作年、そしてシルバースミスが一致しており、パッと見も一緒ですから、同じシリーズのティースプーンであることは間違いありません。 ところが、一本一本が職人さんの手仕事ですから、よく見てみると、手彫りの彫刻の強弱、植物文様のサイズ、そして葉っぱの左右向き加減などに違いがあることに気づかれると思います。

これがヴィクトリアン アンティークの姿であり、現代の私たちが見て、その個性と魅力に惹きつけられる、ハンド エングレービングであります。 
手仕事だからこそ生まれてくる人の温かみが、アンティークの魅力の根っこにあるように感じます。

ブライトカット様の深めな彫り、ジグザグ文様の鉤彫り、深めな丸彫り、そしてシェードを付ける微細な彫り等々、彫刻レベルは何層にも及んでおり、豪華な雰囲気となっていることが、このアンティークの特徴です。

基本デザインは深めなタッチの彫りとなっており、彫刻刀を入れた切面の角度が変わっていくことから、ブライトカットと同様な効果があって、光の反射が綺麗です。 イニシャルの入った周囲の装飾も、六重の違ったタイプの彫りを重ねた凝った彫刻です。 

そして基本ラインの内側は、写真で見て色合いが濃いめに見える部分になりますが、1ミリ間隔に何本もの彫刻線を引いて影をつけていった仕事で、かなり微細な彫刻になります。 ルーペで詳細に見ていかれると、ハンドエングレービングとしては限界的な職人技が施されているのが分かり、より楽しめるヴィクトリアン アンティークであることが分かるでしょう。

幅広な柄は彫刻面を広くする工夫になりましょう。 手彫りの彫刻が全面にわたっていることも手伝って、全体としてゴージャスな仕上がりになっております。 これほど美しい装飾が見られると、銀の宝飾品といった感じであり、テーブルウェアにしておくのは惜しい気もいたします。 装飾の多いシルバーウェアには、お祝い品として作られるクリスティングスプーンの例がありますが、写真のティースプーンはそうしたお祝い品レベルに達しているシルバーウェアという気がいたします。

このヴィクトリアン アンティークを作った銀工房は、Wakely & Wheelerといって、その創業が1791年という老舗です。 創業者はジョン・ライアスという人でしたが、19世紀の後半には創業家のライアスファミリーは仕事から退いて、当時のパートナーであったウェイクリーとウィーラーによって事業が引き継がれていきました。 ガラード、エルキントン、マッピン&ウェッブといった有名メーカー&リテーラーにライアス時代からずっとシルバーウェアを納入していたWakely & Wheelerはジョージアンとヴィクトリアンを通しての優良シルバースミスの一つと言ってよいでしょう。

この品が作られたヴィクトリア時代については英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian」や「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」の解説記事もご参考ください。



ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン

ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン


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