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No. 14777 9カラット ゴールド ケルティック クロスペンダントヘッド
クロスの縦 2.4cm、横 1.7cm、ペンダントヘッドの留め金を含む長さ 3.0cm、厚み 1mm強、エドワーディアン頃の英国製、二万円

アーサー王物語の挿絵で見かけるようなこのデザインはケルティック クロス呼ばれます。 

9カラット ゴールドのホロー(中空)構造で、手彫りエングレービングの水準はかなり高いと感じます。 裏面にはメーカーズマークと9カラット ゴールドを示す「9CT」刻印があります。

ルーペを使って彫刻の様子を観察しましょう。 クロスの四方向には波頭といった雰囲気のウェーブパターンが彫り込まれています。 この波模様を全体として見ると、中心から四方に拡散するスパイラル パターンを構成しているとも解釈できます。 クロス中心からやや下の方には、アイビーの葉が一枚だけ彫られております。 リング部分の周辺部にはブライトカットが施され、光の反射が綺麗です。 背景部分の微細な彫刻には、扇状に彫刻線を広げていったファンパターンが卓越していて、これも光の反射効果を高めると言う点で特徴をなしています。

ウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。 

「Spiral=渦巻き、螺旋」というのは、とても重要なケルティックモチーフで、渦巻きは太陽を象徴し、そこからGrowth(成長)、Expansion(拡大)、Energy(活力)の意味合いが導かれます。 

19世紀後半からしばらく、ヴィクトリアンやエドワーディアンのイギリスでは、当時の自然主義的傾向にアイビーがよくマッチした為、バルコニーやガーデンファーニチャーに絡まるアイビーが大変好まれました。 アイビーは蔦がしっかりと絡まることから、Fidelity(忠実ないしは誠実)、Friendship(友情)、あるいはMarriage(結婚)を象徴するモチーフとされます。 そしていつも緑であることから、Immortality(不滅)や Eternal Life(永遠の魂)を表すクリスチャンモチーフともなっています。

コンディションが良好で、ハンドエングレービングの素晴らしいアンティーク クロスになりますが、この品についてはもう一つ興味深く思えるポイントがあります。 写真二番目でクロスの裏面をご覧いただくと、クロス本体の十字部分はローズゴールドの色合いが卓越していますが、周りのリング部分はイエローゴールドの色合いになっています。

ケルティッククロスについて解説するサイトがありましたので、ご参考まで。 (このサイトは図柄も豊富で参考になるのですが、残念ながら現在は休止中のようです。再開したらご覧になってください。)
http://www.celtic-art.net/Symbols/Page43.htm

詳しくは上記サイトの解説をご覧いただくとして、概略だけ申し上げますと、このケルティック クロスのモニュメントは英国西部のコーンウォール地方からウェールズ、スコットランド西方諸島、そしてアイルランドに分布していて、千二百年以上前のケルト人によって建てられたものです。 今日的感覚では墓標のように思いますが、そうではなくて、ミーティング ポイントとして建立されたとあったのは面白いと思いました。

最後になりましたが、ケルティックとは「ケルト人の」という意味です。 英国史においてケルト系の人達とはもともとのイギリス先住民で、民族大移動によって欧州大陸方面からノルマン系住民が流入して支配的な地位を占めるようになると、次第に辺境の地へ追いやられていった人たちです。 彼らが追われた辺境とは、スコットランド、ウェールズ、英国西部のコーンウォール、そしてアイルランド等でした。 とは言っても、支配と被支配という関係だけではなく、結局は婚姻などで入り混じって今日のイギリス人が出来あがっています。 ちなみにロンドンという地名やテムズ川の名前はケルトの名称だそうですし、今日の英国人は自分たちのことをブリトンと呼びますが、このブリトンとは元々ケルトの一部族の部族名でした。

イギリスにおけるケルト諸族の歴史については、英国アンティーク情報欄にあります「32. ウェルシュ ボーダーの Weobley村」の解説記事もご覧になってください。

また、円卓の騎士のアーサー王はコーンウォールで生まれたとされる、伝説的なケルトの王様です。
アーサー王伝説については、「28. Tintagel アーサー王伝説の村」の記事もご参考まで。

9カラット ゴールド ケルティック クロスペンダントヘッド





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