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No. 14749 エドワーディアン スターリングシルバー ハノーベリアンパターン with ラットテール テーブルスプーン
長さ 21.2cm、重さ 78g、ボール部分の長さ 7.6cm、最大幅 4.55cm、深さ 1.4cm、柄の最大厚み 5mm、1904年 ロンドン、Josiah Williams & Co.作、一万七千円

今から百年以上前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバー テーブルスプーンです。 柄先が少し手前に曲がったタイプで、ハノーベリアンパターンと呼ばれます。 ボール裏面を見ていただくと、先が細くなったネズミの尻尾のようなデザインになっており、これがラットテールと呼ばれる構造です。 ラットテールはハノーベリアン パターンに付随して現れることが多いデザインです。

78グラムの持ちはかりがあって、かなりしっかり出来たアンティークであることは好印象です。 銀をたっぷり使ったスプーンであることは、Very Britishなシルバーウェアとして特筆すべきポイントになっています。 

ボール部分は銀が厚めな感じで、ラットテールの厚みも持ちはかりに寄与していましょう。 柄も最大で5ミリほどの厚さがありますし、手にしてみると柄先に向かっても、柄には全体としてふっくら感があって、重厚さが伝わってくるところに、このアンティークの持ち味を感じます。 英国風な重厚な銀器をお探しの方にお薦めしたと思います。 

裏面のホールマークは順に「Josiah Williams & Co.」のメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1904年のデートレターです。

一般にヴィクトリア時代創業のシルバースミスが多い中にあって、この品を作ったJosiah Williams & Co.はジョージアンの時代に始まった老舗の一つになります。 1800年創業のJosiah Williams & Co.はブリストルのメーカーで、地方では最大のシルバースミスでした。 メーカーズマークは当時の共同パートナーであった二人、George Jackson & David Fullertonの頭文字GJDFが刻まれています。 

今日でも中世の街並みや大聖堂が美しいブリストルは、16世紀にはエイボン川河口の貿易港として栄え、その後はイングランド南西部の主要都市として発展しました。 しかし大きな都市であったがゆえに、第二次大戦中の1940年11月24日にはドイツ軍による空襲を受け、Josiah Williams & Co.も工房を失い、残念ながら140年の歴史に幕を閉じました。

フランスなど大陸ヨーロッパ諸国のシルバーウェアと比較して、しっかりとした重たい銀器が多いのは英国シルバーの特徴で、このスプーンはイギリス人の好みをかなり意識して作られた品であると感じます。 エングレービングなしのシンプルデザインに加えて、銀を厚めに使ってこしらえてある様子を手にしてみたとき、私はそこにイギリス城砦の質実剛健な雰囲気を感じます。

余談ですが、ディズニーランドのシンデレラ城のようなファンタジー風なお城は、フランスやドイツにはあっても、イギリスにはまず見当たりません。 イギリスのお城は敵から攻められにくそうな実用重視の四角っぽい要塞風が多いのです。 シルバーとお城は違いますが、英国人の質実剛健好みには、けっこう長い歴史がありそうに思えるのです。

余談ですが、ディズニーランドのシンデレラ城のようなファンタジー風なお城は、フランスやドイツにはあっても、イギリスにはまず見当たりません。 イギリスのお城は敵から攻められにくそうな実用重視の四角っぽい要塞風が多いのです。 シルバーとお城は違いますが、英国人の質実剛健好みには、けっこう長い歴史がありそうに思えるのです。

雪景色のOrford城を思い出したので、写真を探してみました。(写真三番目) 12世紀に英国王ヘンリー二世によって築かれたOrford城の内部は円筒形で、外部は18面体構造になっていて、Polygonal Shape(多角構造)と呼ばれます。 普通の四角い構造のお城より、敵に攻められた時には守りやすいのが特徴で、海辺の丘の上に建つOrford城は英国で一番最初に築かれたポリゴナルなお城だそうです。

Orfordはロンドンから北東へ約100kmのサフォーク州にある海辺の街ですが、英国アンティーク情報欄の「24. アンティークな英国パブ」にもこの地域の情報がありますので、ご参考まで。

エドワーディアン スターリングシルバー ハノーベリアンパターン with ラットテール テーブルスプーン



雪景色のオルフォード城

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